「根性論、曲げるつもりはありません」不適切ではない昭和のチカラが宮崎・日章学園ゴルフ部の強さの秘密
プロゴルファー13人を輩出した教えとは?
「私の教え、時代に合ってないとも言われるんです」と話すのはゴルフ部監督を務める菊池美幸。体 育教諭でもある菊池は爽やかなスポーツウーマンに見える。 彼女に“昭和”な考え方があるのか、いや、そもそも“アベック優勝”という言葉自体が、昭和風なのではないかと思いながら話を聞いていると、「やっぱり、時代が変わっても変わってはいけないことはあると私は思います。頑固なのかもしれません」ときっぱり。 「うちは練習環境が本当にいい。本当にありがたいです。でも、ではなぜ今まで勝てなかったのかと。人間ってやっぱり、ぬるま湯につかるとぬるくなるんです」と宮崎弁を交えて話す菊池。 確かに日章学園の練習環境は抜群だ。月曜日は宮崎国際GC、水曜日はUMKCC、木曜日はハイビスカスCC、土曜日が青島GC、日曜日が座論梅GCで薄暮ラウンドを、授業が7限まである火曜日は練習場のいけうちゴルフで、すべて無料にしてもらっている(金曜日はオフの日)。コースもゴルフの大会も多い宮崎はジュニア育成にも協力的なのだ。
菊池は学生時代、ずっと剣道で心身を鍛えてきた。教師となり剣道部、バドミントン部、女子ボクシング部の顧問を経て、ゴルフ部の監督に“抜擢”された。学校がゴルフ部に力を入れようとしているときだった。 「私はゴルフがわからないし興味もない。止まっているボールを打つことの何が楽しいの、打って入ればいいんでしょうって(笑)。最初は書類を書くだけでいい、教えるプロもいる、という話でした。でも見ていると、やっぱり子どもたちが可愛い、となるんですよ」 菊池の“部活動魂”は、もっと部活動の真髄を知ってほしいと思うところからきている。 「最初の頃は、親御さんたちにも、何しに来たんですかという感じで見られたりしました。クレームも多いし、何という競技だろうかと、最初は病みましたよ。私自身にも迷いがありました。いろいろな部活を見てきましたけど、今までにない感じで。正直、親御さんたちに、“自分の子どもだけ”という雰囲気もあり、試合でクラブメーカーさんと生徒のやり取りを見て、やってもらって当たり前という感覚に違和感があった。でも、子どもが成長していく段階は何の部活でも競技でも変わらないと考えたとき、一番必要なのはその子の本質的なものだと。どこに行っても可愛がってもらえる人間になってほしい、子どもたちに自立してほしいんです。私は人間性を重視する環境で部活をしてきたんだから、と改めて思いました」