チャールズ国王の治世になって変わったこと、変わらなかったこと
変わらなくてはいけない点は?
女王時代から劇的に変わっていないことが現時点では国王の強みになっているが、それが弱点になっている部分もある。それは財政の透明性。ロンドン大学で現代史を教えるヘザー・ジョーンズ教授はこう語る。「国民は王室という機関に大金を納めている。そうである以上、財政をもっと明らかにする必要がある」。同時に経済的にスリム化することも重要だとジョーンズ教授。「人々が飢えているとき、歴史は君主制にとって不利に動く」。ご存じフランス革命のマリー・アントワネットの事例を見ても、それは明らか。国民の暮らしぶりが苦しくなっている今、コンパニオンの仕事を無給にしたくらいでは国民は納得しないと示唆している。
国王もその点は強く意識している。クリスマススピーチでは「国内で請求書の支払いや家族を食べさせ、暖める方法を探している人々」について言及した。これは女王の時代とは異なり、「過激な点だ」とホワイトロック教授は指摘している。とはいえ「BBC」は王室の財政は変わっていないと指摘。「支出は減っていない。本当の誕生日だけでなく君主の公式な誕生日を祝う習慣もまだある」と報道している。また現在バッキンガム宮殿は修繕中だが、国王夫妻が宮殿で暮らすかどうかには「疑問の余地がある」とも。国王はこれまで通りクラレンスハウスで暮らしたがっているという報道もある。事実であれば、修繕は無駄遣いだと批判される可能性が大。
財政のスリム化問題
王政に関する書籍、その名も『After Elizabeth(エリザベス以降)』を執筆したエド・オーウェンズは「これからは若年層が抱く社会的不公平の感覚に逆らわないようにすることが重要」と話す。働いても持ち家が手に入らないこと、長期にわたって学生ローンの返済に苦しめられること、働いても生活が豊かにならないことなどの不満がある中「王政の今後が不公平の象徴と見なされるのは危険」と同氏は指摘している。国王は公務を行うロイヤルファミリーを少なくし、人員をスリム化しているが、それ以上に財政のスリム化を見える形で進めることが必要だと指摘している。