チャールズ国王の治世になって変わったこと、変わらなかったこと
チャールズ国王の戴冠式が行われて1年以上が経った。チャールズ国王の治世が本格的にスタートし、エリザベス女王の時代と何が変わったのか、そして何が変わらなかったのか。国民の反応、それに対する王室専門家たちの分析をレポートする。 【写真】チャールズ国王とアン王女の、心温まるロイヤル兄妹ショット
「驚くほど驚くべき点がない」
エリザベス女王の治世が70年に渡って続いたことから、イギリス国民の多くが今回初めて君主の交代を経験した。戸惑ったり混乱したりする声がもう少し上がると想像していた専門家はスムーズな移行に注目している。ロンドン大学ロイヤルホロウェイの教授ポーリーン・マクラランは「驚くほど驚くべき点がない」と放送局「BBC」にコメント。「みんな国王としてのチャールズに驚くほど素早く慣れている」。
でもこれは国王の努力の結果。マクララン教授は国王が「柔らかな、ふんわりしたアプローチ」を取ってきた成果だと語っている。「国王はこの1年、エリザベス女王の息子として振る舞ってきた」。同じくロンドン大学で近代における君主制の歴史を研究している教授アナ・ホワイトロックもほぼ同意見。「まるで非公式の喪の期間のようだった」とコメント、国王が女王の姿勢を受け継いできたと指摘している。「この1年、あまり見るべきものがないという感覚だったが、それを人々はポジティブに捉えていた」。変化がなかったからこそ、みんなが新たな君主を受け入れられたと指摘している。
安定運行は国王の功績
スコットランドのセント・アンドリュース大学(ウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃の母校でもある)で歴史学を教えるチャンドリカ・カウル教授もこの点を評価する。「チャールズ国王は劇的に長かったエリザベス女王の治世を経て、イギリスという国、君主制という船を安定運行させることができた。これはすべて彼の功績だ」とカナダの放送局「CBC」に語っている。
多様性に対する意識には変化
そんな中、国王が即位して最も変わったとされるのが王室の多様性に対する姿勢。国王はイギリスを「コミュニティが集まったコミュニティ」と評し、戴冠式にもキリスト教以外の宗教の代表者を登場させるなど多様性を意識していた。でもそれ以上に新治世の変化を露わにしたのが、ある恥ずかしい事件。国王が即位して数か月後、バッキンガム宮殿でチャリティイベントが開催された。この場でエリザベス女王のお付きの女官を務めていたレディ・スーザン・ハッセー(写真右)はあるアフリカ系の女性チャリティ組織代表者に「あなたの国籍は?」「あなたは本当はどこから来たの?」と執拗に質問。聞かれた女性はSNSで「これは人種差別だ」と指摘、非常に衝撃を受けたとコメントした。