簡単な法則が思い出せない…ほぼ白紙のテスト用紙 教育系Youtuberが語る大学受験「失敗」談
親の「いつも通り」が助けになった
――過酷だった葉一さんの受験体験ですが、親のサポートはありましたか。 受験のことは子どもにお任せで、良くも悪くも親が「いつも通り」でいてくれたことが、助けになりました。実はセンター試験を受けた夜に、出来がよくなかったと思い込んで、家族に当たり散らしました。でも、そのときもいつも通り。僕が「もう受かんねえよ」「ダメだ……」なんて大騒ぎしているのを、何にも言わずに聞いているだけでした。あとで自責の念に駆られて謝りましたが(笑)、親が一緒にあわてたりしなかったことは、ありがたかったですね。 ――大学受験で保護者にできることは、どんなことだと思いますか。 いつも通りでいることだと思います。ただ、僕も2人の子育てをしていて痛感しているのですが、そのいつも通りが難しいんですよね。だから言い換えるとしたら、「待つ」ということではないでしょうか。「お父さん(お母さん)は口出ししないから、やってほしいことがあったら言ってね。そのときは全力でやるから」というポジションがいいと思います。ただ、実はそれもなかなか難しくて、塾講師をしていたときに、「つい口を出してしまった」という保護者を多く見てきました。でも、その一言でメンタルがガラリと変わってしまうことが、受験生にはあるんです。だから、何か言いそうになったら「自分が言われてうれしいかを確認してください」とよくお伝えしていました。
自分を信じる気持ちだけは誰にも負けないで
――毎年、動画で受験生にエールを送っていますね。 受験勉強をしていると、いいときもあれば、あまりいい状況ではないときもあります。でも、何があっても勉強するしかないのが受験です。YouTubeやSNSには、受験の成功体験を語る動画が山ほどありますが、それはその人がいろいろな経験や試行錯誤をした結果、最後にたどり着いた成功を伝えているにすぎません。そして、自分の機嫌の取り方は、自分で見つけるしかない。気分転換の方法をいくつか持っておくと、状況に応じてプラスに転じることができておすすめです。 あとは、「自分を信じる気持ち」だけは、絶対に誰にも負けちゃいけないということを伝えたいです。つい周りの人と自分を比べてしまいがちですが、自分で自分のことをきちんと信じてあげることが大事。応援してます! 頑張っていきましょう! ■プロフィール 葉一(はいち)/東京学芸大学を卒業後、教材販売会社の営業、塾講師を経て独立。2012年に開設したYouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」では小学3年生から高校3年生までを対象とした授業動画などを投稿し、チャンネル登録者数は約199万人をほこる(2023年12月現在)。著書に『中高生の悩みが軽くなるヒント集めました。 勉強・人間関係・進路の不安に効く57の方法』(河出書房新社)など。
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