次期アルトが100kgも軽くなるってどうやるの!? まさかの3ドア化にリヤシートレスで「ツイン」みにいになる可能性も!
次期アルトは550cc時代の軽自動車と同程度に軽量になる!
軽スーパーハイトワゴン「スペーシア」が瞬間風速ながら日本一売れたモデルになるなど、最近のスズキは元気だ。コンパクトカー「スイフト」には熱効率に優れた1.2リッター3気筒エンジンを新開発して搭載するなど、エンジンにもこだわりがある様子。また、インドから輸入する新しいクーペSUV「フロンクス」の前評判も上々なことは、自動車ファンの間では知られている。 【画像】スズキ・アルトの歴代モデルの画像を見る(38枚) そんなスズキは、先日2050年カーボンニュートラルの実現に向けた、エネルギーの極少化につながる先進技術を発表している。カーボンニュートラルというと、多量のバッテリーを積んだEV(電気自動車)を想像しがちだが、企業の行動理念として「小・少・軽・短・美(しょう・しょう・けい・たん・び)」を掲げるスズキのアプローチは独特だ。 「軽量化」を環境対応に重要な技術として捉えている。発表の場において、鈴木俊宏社長は、「次期アルトは現行型から100kgの軽量化を目指している。不要なスイッチや、内装の樹脂パーツを省いてでも実現したい」と大胆な目標を発表した。 現行型アルトは、マイルドハイブリッド仕様とシンプルなガソリンエンジン車をラインアップしているが、最軽量グレードの車両重量は680kg。ここからマイナス100kgということは580kgということになる。SRSエアバッグなどの安全装備を省くことなく、550cc時代の3代目アルトと同じ程度の重さを実現するということだ。 果たして、それは現実的な目標なのだろうか。発表会での取材によって見聞きしたことも含めてマジメに考えてみたい。
軽自動車以下のサイズになって登場する可能性もある!
前述したように、鈴木社長はユーザーにとって不要な部品を省く工夫がポイントになるという旨の話をしている。あわせて「軽自動車においてユーザーが1日に走る距離は非常に短く、ほとんどひとりで乗っている」という発言もあった。 軽自動車の使用状況の調査によると、軽自動車のユーザーにおいては、「ほとんど毎日使うけれど月間の走行距離は400km未満」というケースが半数以上を占めている。また、全体の半数以上が1名乗車で利用しており、2名以下で乗っているユーザーと足すと、全体の約9割となる。 つまり、アルトのような立ち位置の、日常生活の足となるような軽自動車にとって、高速道路をロングドライブするような走行性能や運転支援システムはもちろん、3名以上が乗るための後席さえもいらない……と割り切ることもできそうだ。 発表会場にて軽量化についての技術説明を担当していたエンジニア氏からは「リヤドアも不要じゃないか、ということもアイディアとしては出ています」という話もあった。たしかに、アルトであれば3ドアへの回帰もひとつの手段となるだろう。 後席も省いてしまうのであれば、ボディサイズを軽自動車規格の枠に収める必要もない。小さいボディは衝突安全性能に不利な傾向にあるため、小さくしたぶんだけ軽量になるとはいい切れないが、ボディを小さくすれば鉄板やガラスの使用が減るので、物理的に軽くするには有利だろう。 つまり、次期アルトを500kg台にするための手法として「アンダー軽サイズ」を選択することも考えられる。 スズキのアンダー軽サイズモデルといえば2003年に誕生した「ツイン」を思い出すファンもいるかもしれない。全長2735mmと非常にコンパクトな2シーターコミューターとして生まれたツインの車両重量は570kgと圧倒的に軽かった。しかも、2000年代に作られたモデルということは、曲がりなりにも現代的な衝突安全性能を有していたということになる。 3年弱で販売終了となるなど、ビジネス的には成功したとはいい難いツインだったが、先日の技術発表会で鈴木社長がいっていたように「不要な機能を徹底的に省く」という姿勢で次期アルトを開発するならば、令和版ツインのような姿になるかもしれない。 市場がアンダー軽サイズを許容できるのかどうかも含めて、はたして超軽(量)自動車がどんな姿になるのか、大いに注目したい。
山本晋也