知り合いを見つけて驚く志田千陽さん=2024年10月24日、秋田県八郎潟町、阿部浩明撮影

　パリ五輪のバドミントン女子ダブルスで銅メダルに輝いた志田千陽（ちはる）さん（27）の凱旋（がいせん）パレードが24日、出身地の秋田県八郎潟町で催された。沿道には2千人を超える町民が詰めかけ、快挙をたたえて喜びを分かち合った。 【写真】手を振ってこたえる志田千陽さん=2024年10月24日午前9時58分、秋田県八郎潟町、阿部浩明撮影 　志田さんはこの日、試合に臨む「戦闘モード」のピン留めのヘアスタイルではなく、前髪を垂らすリラックスした姿で登場。日本代表のオレンジ色の公式ウェアに銅メダルをかけて、オープンカーに乗り込んだ。 　目抜き通りに設けた約2キロのコースをゆっくり進み、沿道に集まった町民らに笑顔で手を振ってこたえた。スマホで撮影しようとする人たちからは「ちはるちゃーん」「おめでとう」「かわいい」などと祝福の声が飛び交った。 　パリ五輪には、松山奈未さん（26）と組む「シダマツペア」（熊本県・再春館製薬所）として初出場。町内ではシダマツペアを応援しようと、予選リーグからパブリックビューイング（PV）が行われた。 　何度もPVに参加したという女性（53）は「ラリーを粘り強く制して、鋭いスマッシュをたたき込む。ドキドキしたあの試合を思い出しました」と感激していた。 　この後、八郎潟中学校で報告会が開かれた。 　準決勝で中国ペアに敗れた後のメンタルについて、志田さんは「なかなか気持ちを切り替えられず、泣きそうになりながら3位決定戦に臨んだ」と明かし、「でも監督や家族みんなの声が聞こえてきたときに、いつの間にか楽しくプレーしている自分がいて、コートの中で徐々に切り替えられた」と振り返った。 　中学生から、一つのことを長く続ける秘訣（ひけつ）を聞かれ、「私は周りの人や言葉に助けられて困難を乗り越えてきた。人や言葉との出会いを大切にしてほしい」と呼びかけた。 　志田さんは八郎潟町出身の5人目のオリンピアンで、女性では初。1988年ソウル五輪レスリング金メダリストの佐藤満さん以来、町では36年ぶり4人目のメダリスト誕生となった。 　志田さんはその後、秋田県庁へ。24日午後1時前に到着すると、大勢の職員や県民栄誉章顕彰式のために集まった高校のバドミントン部員らが大きな拍手で出迎えた。 　顕彰式では佐竹敬久知事が県民栄誉章を授与。佐竹知事は「パリ五輪での活躍が県民に誇りと勇気をもたらした。たゆまぬ努力の成果だ」などとたたえた。 　記念の報告会で志田さんは「きょう一日、秋田県のたくさんの方にお会いして、たくさんのパワーをもらったので、これからのステップに向けて、また頑張ろうと思う」などと話した。（阿部浩明、岩田正洋）