池田、驚異の粘り腰 2年連続アマ横綱 「能登のため1年頑張った」
●決勝取り直し 学生王者うっちゃる 昨年と同じ顔合わせとなった1日の全日本相撲選手権の決勝は取り直しの末の激闘となった。七尾市に生まれ、金沢学院大から加賀市のソディックに就職した23歳の池田俊選手は、土俵際の驚異的な粘り腰で、今年の学生横綱ブフチョローンをうっちゃった。能登半島地震に見舞われた故郷に2連覇を届け「周囲には家をなくした人もいて、能登のため1年間頑張ってきた。自分が活躍して元気を届けられればと思っていた」と感慨に浸った。 最初の一番は右に変化するなど消極的だった。取り直しは「気持ちを切り替え、自分の立ち合いをする」と奮起。しっかりと踏み込んで得意の左を差し、出し投げから寄り立てる相手を右で崩して逆転した。 池田選手は元関脇・栃乃洋(竹縄親方)のおいで、複数の大相撲の部屋から誘いを受けたが、地元に就職して仕事と相撲を両立させる決断をした。ただ、社業もあって練習量は学生の頃と比べると、3分の1程度に減った。 左足の甲とすねを傷めており、予選は3戦全勝で通過したものの「相撲内容に安定感がなく、ぎりぎりの状態だった」という。 平日は週3回、小学生を指導し、週末は母校で実戦を積んだ。「昨年よりも接戦や逆転が多かったが、連覇できたのはうれしい」と胸を張った。 今後も大相撲には進まない意向だ。10人目となる2連覇に「自分でも信じられない。恥ずかしくない、ふさわしい相撲を取っていきたい」と語った。 ●「3連覇目標に」 次は史上2人目となる3連覇への期待が高まる。過去に3連覇の偉業を遂げたのは、くしくも同じ七尾市出身の野見典展さん(七尾実高OB、1965~67年優勝)だ。「3連覇できるチャンスがあるのは全国でも自分だけ。目標にしたい」と次を見据えた。 池田選手は183センチ、130キロ。今年は世界相撲選手権無差別級で優勝。国民スポーツ大会では石川選抜の先鋒として成年男子団体を12年ぶり3度目の優勝に導いた。11月に北國スポーツ賞を受けた。 ●金沢学院大の篠がベスト8 3位はバットヤッグ・バヤルボルド(日体大)と五島雅治(拓大)。金沢学院大の篠侑磨や高校生の福崎真逢輝(鹿児島・樟南高)が8強入りした。 今大会のベスト8以上は大相撲の幕下最下位格付け出し、16強以上は三段目最下位格付け出し資格を得た。