卵は1日1個まで、は間違い?血液の流れを良くする「1日5個の卵」のススメ
血液のおそうじには「タンパク質」が必須!
筋肉は血液のおそうじに欠かせない器官です。そして、それを維持するには、タンパク質が欠かせません。タンパク質の摂取量が減り、筋肉量が減少してしまうと、身体機能が低下して血液の汚れも悪化する「サルコペニア」という状態になってしまう危険性があります。サルコペニア予防のためにも、高齢になればなるほどタンパク質をたくさん摂ることが大切です。そのためには、1日に体重1kgあたり1g、体重が60kgの人なら最低でも60gは摂取していただきたいところです。 ここで、具体的にどのような食事をすれば1日に必要なタンパク質が摂れるのかを説明したいと思います。 タンパク質をもっとも効率よく摂取できるのは肉です。肉の種類にもよりますが、100gあたり約20gのタンパク質を摂取できます。体重が60kgなら、300gの肉を食べればよいということになります。 ただし、中高年の人が肉を300g食べるのは厳しいですよね。そんなときは、豆腐や納豆など、タンパク質を豊富に含む食品を食べて足りない分を補いましょう。たとえば、豆腐1丁には約20g、納豆1パックには約17gのタンパク質が含まれています。つまり、肉150gと豆腐半丁、納豆1パックを3食のなかで食べれば、1日に必要なタンパク質がほぼ摂取できることになります。
「卵をたくさん食べるのは悪」は間違い! 固定観念を捨て、1日3~5個の卵を食べよう!
肉は、動物性タンパク質で体内での利用効率が高く、300gと少量でも1日に必要なタンパク質を満たすことができます。それゆえ、高齢者ほど肉を積極的に食べてほしいところですが、噛む力が弱くなると肉を食べるのがツラいという人は多いはずです。 そのような高齢の患者さんに私がおすすめしているのが、卵です。卵は1個あたり約10gもの動物性タンパク質が含まれるため、効率よくタンパク質を摂ることができます。加えて卵はビタミンCと食物繊維以外の栄養成分をすべて含んでいる「完全栄養食品」と呼ばれる理想の食品です。
特に、タンパク質の一種「アルブミン」という成分を卵は豊富に含んでいます。アルブミンは血液に含まれるタンパク質の約60%を占めていて、筋肉や血管、骨の生成をサポートする作用をもっていますが、高齢の方は不足しがちな成分です。 私はいつも患者さんに、1日、3~5個の卵を食べることをすすめていますが、患者さんのなかには「そんなに食べたらコレステロールが増えてしまわないですか?いつも1日1個で我慢しているんですよ」と、不安げな表情を浮かべる人が多くいらっしゃいます。でも、安心してください。 実は、卵がコレステロールを増やすというのは誤解です。この誤解を招いたのは1913年にソ連(現在のロシア)のとある科学者が発表した「ウサギに大量の卵を食べさせたところ、コレステロールの数値が上がった」という実験結果です。 しかし、そもそもウサギと人間は種が違います。草食動物に動物性の食品を食べさせればコレステロール値が上がるのは当然のことです。 そして、1981年に、日本で健康な人に卵を1日10個、5日間にわたり食べてもらったところ、コレステロールの数値はまったく上がらなかったという実験結果が発表されました。これで、卵がコレステロールを増やす原因であるという話が濡れ衣であったことが証明されたのです。卵を食べると血液中のコレステロールが増えて血液が汚れてしまうという考え方は時代遅れなのです。 そもそもコレステロールの値は低いほど健康によいと考えている人が多いようですが、それは大きな間違いです。コレステロールは細胞の壁や免疫細胞の材料となる成分で、少なすぎると血管がもろくなったり、免疫力が低下します。そのため、現在ではコレステロール値は少し高めがいいという考え方が主流となっています。 卵をたくさん食べることを不安に思う必要はありません。むしろ、食べないことのほうが体に悪いと考えてください。特に高齢者は、サルコペニアを防ぐためにも、1日、3~5個の卵を食べることを目指してください。 本文は『中性脂肪減×高血圧改善×動脈硬化予防 1日1杯血液のおそうじスープ』(アスコム)より一部抜粋・編集しています。 画像提供:Adobe Stock