25歳で上場、2児の父。成田修造さんの“仕事と子育ての両立”の極意は「仕事を一生懸命しないこと」
成田さんが掲げる「フルベットしない戦い方」とは?
森久保: よく、仕事で圧倒的に成果を出している人って「20~30代のある期間、仕事に人生をフルベットした」と言ってるじゃないですか。 成田さんもそうなのかなと思っているんですけど… 成田さん: 自分は、仕事にフルベットなんて、当然してないですよ。 僕は、「フルベットしないながらに圧倒的な成果を上げたい」と思ってるんです。 孫正義さんとか、日本電産の永守さんのような偉大な経営者に聞いたら、きっと「120%人生を賭けるべき」って言うじゃないですか。 ただ、それをやっている限りは、“本当に子どもと向き合える人生”にはならない。 だから、自分は「制約のなかでかなり成果を上げた人」になりたいと思ってるんです。 森久保: おおお… ただ、仕事で、“限られた時間内で成果を出す”ってときに、絶対に捨てなきゃいけない部分が出てくるじゃないですか。それって、何を捨てられたんですか? 成田さん: 僕は、スピードを落としています。 森久保: スピード? 成田さん: いま、起業してもうすぐ世の中にお披露目できる、という状態なんですが… 「事業の成長スピード」を落としているんですよ。 無理しない。でも、それが大事だと思っています。一生懸命走らないで、程よい緊張感でマラソンを続けていくっていうイメージです。 森久保: な、なるほど… 成田さん: たとえば、仕事に1日15時間かけてる人がいたとしましょう。1日8時間だと半分の投下量ですよね。 「それってだめなんですか?」と思うんですよね、個人的には。 子どもがあと10年ぐらいしたら巣立っていくとして、そのとき自分は50歳ぐらい。50歳ぐらいから全盛期だなと。それぐらいまでプランがあるんで、全然焦ってないんですよ。 森久保: たしかに、人生を長期スパンで見るっていうのもめっちゃ大事ですよね。 成田さん: そういうことなんです。長期スパンで見て、たとえばR25世代の若者だったら、必ずしも今すぐに昇給のために働かなくてもいいかもしれない。 森久保: たしかに、「本当にこの数十万円が必要なんだっけ」って考えられますね。 成田さん: それぐらいのゆとりを持って人生を考えたほうが、ストレスなくやれそうだなって思います。 あともう一つは、「やってることが正しいのか」をめちゃめちゃ振り返るべきですね。 ガチャガチャと労力の“無駄撃ち”をしてるだけで、仕事をした気分になっているだけ…という会社は多いので、そこをそぎ落とす。 森久保: グサッと来てます… 成田さん: 労働集約的になっているものとか、過剰な時間投下がされている部分を削ったり、仕組み化したり。 クラウドワークスのときも、そのような選択と集中をやったことで、めちゃくちゃ効果が出ました。 最後の数年は、労働時間だけで言うと、上場前後の6割くらいになってましたね。 森久保: すごい… それで成果は出るものなんですか? 成田さん: 成長率も利益も伸びました。 正しい努力をすることは、時間を投下することよりも大事だと思っています。 それでセンターピンを外さずに頑張っていくことが「戦略」じゃないですか。 森久保: 「戦いを略す」っていう。 さっきの「すべてが変数なんだ」っていう話とも通じますね。いろいろ思考停止していたのかもしれないな…