資金はどんどん減って…地域の「交通安全協会」が解散へ 家を訪ねて集める「協力金」を断られるケースが目立ち 長野県では全県の入会率が7割→3割台に
「安協」の名で全国で親しまれる存在、地域に根ざした活動の転機か
長野県長野市松代町の松代交通安全協会が2024年度末で解散する方針を固めたことが14日、分かった。戸別訪問で集める「協力金」収入の落ち込みなどが響き、独自の活動継続は難しいと判断した。 【ひと目で分かる】安協への入会率は下がっている
現在、同市篠ノ井の長野南署に事務局を置く長野南安協と合併を検討している。県内28の地区安協で、ほかに解散の動きが明らかになっている例はない。
子どもたちの交通誘導や街頭啓発
松代安協は1950(昭和25)年に発足。長野南署松代交番に事務局を置き、傘下に地区ごとの6分会がある。子ども向けの交通安全教室の企画や、年4回の交通安全運動期間中の街頭啓発、毎年10月に地元で開く「松代藩真田十万石まつり」での交通誘導などをボランティアで担ってきた。
協力金を断られるケースも増え、収入は先細りに
街頭啓発で使うのぼり旗や役員が着用するベストといった備品の購入費用は、自動車がある家を回って年1回集める協力金(1戸当たり1200円)で賄っている。近年は人口減少に加え、支払いを断られるケースも目立ち、収入は先細りに。昨年度の協力金収入は約160万円で、ピークだった97年度の3分の1程度に減った。県全体で安協への入会率が低下していることもあり、5月に開いた総会で2024年度末での解散を決めた。
松代安協は今後、地域住民の意向も踏まえ、解散後の在り方などについて決める。松代安協の宮沢今朝美(けさみ)会長(71)は「先人が活動を積み重ねてきたおかげで現在の交通安全が守られている。合併後も地域での活動を継続していきたい」と話している。
交通安全への意識を高める活動の一翼を担う交通安全協会
長年にわたり交通安全への意識を高める活動の一翼を担ってきた県内の交通安全協会。ただ、全県的に入会率は低下傾向が続く。協力金収入も減っており、各地区安協は解散を決めた松代安協と同様、厳しい財政状況に置かれている。
免許更新時の安協の入会率が大幅に減少
県安協によると、2023年度に県内で運転免許を更新した人の安協への入会率は34・4%にとどまった。02年度は70・9%だったが、03年に県安協の前身の県交通安全協会連合会役員だった元県警幹部2人が、連合会の金約1200万円を着服したとして業務上横領容疑で逮捕(後に有罪が確定)されたこともあり、03年度は62・7%に急落。その後も低下に歯止めがかかっていない。