Airbnbのキャンペーンはパフォーマンスよりも ブランディング を倍増。利益拡大だけでなく、世間の批判からの防御策にも
世界的には民泊サービスからホテルへ回帰する動き
この変更は、Booking.comやエクスペディア(Expedia)傘下のバーボ(Vrbo)といったホテルチェーンや仲介プラットフォームとの競争に対抗するエアビーアンドビーの最新の取り組みである。バーボは4月に独自のキャンペーンをローンチし、潜在的な物件ホストにアピールしようとしている。 旅行会社や航空会社イージージェット(EasyJet)と提携しているエージェンシーVCCPのプランニンググループ責任者、ステファン・ジーデントップ氏は「彼らは両サイドから圧力を受けている」と話す。 「多くの大規模ホテルが施設をアップグレードし、よりローカルな体験を受け入れ始めている。また特にヨーロッパでは、より独立したキュレーションされた体験を提供するブティックホテルが増えている。これはAirbnbにとってさらなる脅威となっている」と同氏は述べた。 Airbnbが提供するようなホームシェア体験とホテルとの価格差が縮小するにつれ、プレミアイン(Premier Inn)のようなホテルカテゴリーのブランドは、利便性と一貫性を強調して適応してきた。たとえば旅行会社トゥイ(Tui)は、2024年のスタートが予想外に好調だった理由に、パッケージホリデーの需要が高かったことを挙げている。 「明らかに、従来のAirbnbのような民泊サービスからホテルへ回帰する動きがみられる」と、クリエイティブエージェンシーのブレイブスパーク(Brave Spark)の戦略ディレクター、ケイティ・マリガン氏は米DIGIDAYに述べた。
会社のことを理解してもらうには
「こうしたプレッシャーに直面するなかで、Airbnbのブランド重視の姿勢は理にかなっている」と、ジーデントップ氏は言う。「直接的、間接的に多くの競合が存在する。その場合、ファネルの一番上を満たす必要がある。一貫性は非常に重要だ。一貫性はクリエイティビティに複合的な効果をもたらす」。 アサイ氏は、Airbnbが一貫したブランドの取り組みに注力することは、商業的な利益をもたらすだけでなく、近年同社が直面している世間の批判からブランドを守ることにも役立つと述べた。 たとえば、Airbnbは短期賃貸市場を取り締まろうとする英国や欧州の地方自治体と対立している。また、観光客に人気の高いバルセロナでは、2028年から短期賃貸の禁止が実施される予定だ。 「ブランドキャンペーンは、Airbnbとそうした批判とのあいだの『防御策』となる」とアサイ氏は言う。「我々が言いたいことを言わず、作りたいメッセージを作らなくても……ソーシャルやメディアで我々のメッセージが勝手に作られてしまう世界がある」と同氏は述べ、「我々がどのような会社で、何を大切にしているのかをしっかり理解してもらいたいだけだ」と言い添えた。 [原文:Airbnb doubles down on brand over performance for campaign to draw more hosts] Sam Bradley(翻訳:Maya Kishida 編集:島田涼平)
編集部