「行くとこなかったら死ななあかん」部屋を探す高齢者の4人の1人が年齢を理由に断られ…住宅の“貸し渋り”の実態に迫る
高齢を理由に賃貸物件の入居を断られるケースが相次いでいます。部屋を探す高齢者の4人に1人が経験したという調査も。高齢者への住宅“貸し渋り”の実態を『ニュース おかえり』(ABCテレビ、11月6日放送)が追いました。 【動画】「けんもほろろに断られる」貸し渋りの実態とは? 番組を見る 奈良県天理市内のアパートに暮らす川本百合子さん(77)。足腰が悪く、生活保護を受けています。若いころに結婚もしましたが、20年以上前に離婚し、現在はひとり暮らしです。 今のアパートに住んで15年。愛犬のリリーちゃんと一緒に過ごしてきましたが、今年、建物の老朽化を理由に大家から立ち退きを求められ、住み慣れた部屋から引っ越すことになりました。
ところが、思わぬ壁が。市役所に相談するも市営住宅は老朽化のため入居できず、自分で住居を探すよう言われた川本さん。不動産会社をあたりましたが年齢を理由に入居を断られ、「行くとこなかったら死ななあかん」と途方に暮れるばかりです。
このような高齢者への貸し渋りは全国的な問題となっています。国交省の調査では、高齢者の入居に拒否感があるとした大家らは66%。理由は孤独死や事故の危険性、亡くなった場合の持ち物の取り扱いの難しさなどです。
大阪府守口市に住む中川忠良さん(81)も貸し渋りに悩まされたひとりです。同居していた姉が亡くなり、収入が中川さんの年金のみに。支出を抑えるために安い物件を探しましたが、やはり年齢を理由に「けんもほろろに断られた」そうです。
そんな中川さんの助けになったのが「居住支援法人」。高齢者や障害者など住宅確保に配慮が必要な人に対し、情報提供や相談、入居の見守りなどの支援を行うよう都道府県が指定する法人です。 居住支援法人には社会福祉法人や不動産会社が指定されるケースが多く、今では全国928法人にまで広がっています。
相談を受けた大阪市内の居住支援法人「リベルタ」の荻野恭子さんは、高齢者の受け入れに積極的な「同じ志を持つ不動産会社」を中川さんに紹介。部屋探しを始めてから1年半、ようやく新居が見つかりました。部屋を借りたい高齢者をサポートするためには、不動産会社との「連携が大事」と荻野さんは話します。 その一方、居住支援には高齢者ならではの大変さも。天理市にある居住支援法人「やすらぎ会」で働く北中桃代さんは、転居を希望する高齢者の相談に乗っていて、貸し渋りに悩む川本さんの依頼も受けています。