世界大手・三菱電機はさらに増強へ…電機メーカー、DC向け半導体レーザー増産の背景
データセンター(DC)向け半導体レーザーの生産能力を強化する動きが強まっている。生成人工知能(AI)の普及でデータ量が増える中、高速通信が可能な同レーザーを搭載した光デバイスの需要が拡大しているためだ。DC向け同レーザーで世界大手の三菱電機は2024年度に生産能力を引き上げたばかりだが、さらなる増強に向けて検討に入った。古河電気工業も高出力の半導体レーザーの量産を始めており、生成AIの好影響が広がっている。 【グラフ】世界のDCシステム市場規模 三菱電機は高速・長距離伝送が可能な「EML(電界吸収型変調器付きレーザー)」で世界シェアの約5割を持つ。IT大手などによるDC投資の拡大に合わせ、24年度に高周波光デバイス製作所(兵庫県伊丹市)と関係会社の工場のEML生産ラインを増強。生産能力を従来比1・5倍に引き上げた。 生成AI向けDCの新増設計画が相次ぐ中、光デバイスの需要が一段と拡大することが予想される。そこで三菱電機はEMLの生産能力について「さらに1・5倍から2倍程度の増強を検討したい」(経営幹部)という。投資時期など詳細は今後検討する。 一方、古河電気工業も半導体レーザー事業を強化している。出力100ミリワットの「DFB(直接変調分布帰還型)レーザー」の量産を24年から始めた。大容量通信に対応しながら電力変換効率を高めており、DCの増加で問題となる消費電力の課題に対応する。 DCをめぐっては世界各国で設備投資が拡大している。総務省の「令和6年度版 情報通信白書」によると、24年の世界のデータセンターシステム市場規模は36兆7000億円になると推計しており、14年の17兆6000億円から2倍強まで増加する。成長を支えるのが、IT大手による世界的なクラウドサービスの拡充だ。加えて、生成AIも追い風となり、より高い計算能力と計算速度を備えたAIサーバーへの投資も強まっている。