市内3つの大規模商業店舗が相次ぎ閉店決定、離職者210人…ハローワーク松本が10年ぶりの緊急会議招集
長野県松本市にある三つの大規模商業店舗が来年1~3月に相次いで閉店するのを受け、同市のハローワーク松本は15日、緊急雇用対策推進会議を招集し、3店舗閉鎖による離職者が210人に上ることを明らかにした。今後、入居テナント関連の離職者がさらに増える可能性がある。緊急会議の招集は10年ぶりとなる。(山口正雄) 【図表】早期・希望退職を募集する大手企業
閉鎖されるのは、イトーヨーカドー南松本店と松本パルコ、井上百貨店本店。
緊急会議が招集されるのは、2014年にソニーがパソコン事業を売却することになり、安曇野市の製造子会社(現VAIO)関連で約400人の離職者が出て以来となる。
会議には、松本や塩尻など8市村や経済団体、県松本地域振興局など31団体が出席。ハローワーク松本の池上仁所長は冒頭、「まとまった離職者が同時に発生する(緊急)事態となった。関係機関で連携し、再就職支援を効率的かつ積極的に行いたい」と述べた。
ハローワーク松本によると、210人の離職者は、3店舗の直接雇用の従業員に加え、3店舗に入居している約120のテナントのうち把握できた従業員を足し合わせた人数。テナントについては、人事を把握している本社部門の所在地が県内外に散らばっていることなどから、「把握はごく一部」だという。
ハローワーク松本は会議の中で、3店舗の関連離職者の再就職支援策の一環として、来年1月27日に安曇野市役所で40社が参加する就職面接会と、同3月12日に松本市のホテルで約70社が参加する大規模就職面接会を開くと発表した。
また、イトーヨーカドー南松本店で10月に3回にわたって離職予定者向けの説明会を行ったことを報告。来年1~2月には井上本店でも同様の説明会を行う考えを示した。
会議では、松本、塩尻、山形の3市村で、工業団地の立地や進出の動きがあって求人数が増える見通しであることや、女性を対象にした「デジタル人材育成研修実施事業」を展開する松本市から「制度を使ってもらえるよう積極広報したい」などの意見が出された。
池上所長は会議後、「離職者の再就職支援や失業給付に加え、3店舗の離職者を早期に雇い入れた企業に助成金を支給する制度もある」とし、求人企業の発掘が大切になると強調した。イトーヨーカドー南松本店は来年1月13日、松本パルコは2月末、井上本店は3月末で閉店する。いずれも後利用は決まっていない。