「棚が倒れて下敷きになっていたら…」揺れに耐え、ゆがんだ突っ張り棒 能登地震で被災して気付いた失敗
▽防災用だけではビジネスは成り立たない 防災用の突っ張り棒は災害が起きると、売れ行きが急激に伸びる傾向がある。だが特需が続くのは半年ほどで、平安伸銅の竹内香予子社長は「防災用の突っ張り棒だけではビジネスは成り立たない」と話す。 災害はいつ起こるか分からず、在庫を持ちづらい。歴史を振り返ってみても、平安伸銅が防災用の突っ張り棒を発売した1995年の前後に市場参入する企業が相次いだものの、ほどなくして下火になった。突っ張り棒を中核事業とする日本企業は今では平安伸銅だけだという。 3代目社長の竹内さんは「防災の使命を果たすためにも、防災以外の事業を強化するのが重要だ」として、突っ張り棒の活用術の普及に力を入れている。近年注目されているのが、突っ張り棒を使って壁を傷つけずに手軽に作れる「見せる収納」だ。もともと押し入れの中など隠れたところの収納力を増やすのに活用されてきたが、近年は賃貸の部屋をおしゃれにDIYする人が増え、ニーズが拡大している。
▽時々揺らして点検、大きな地震の後は取り換えも 「つっぱり棒博士」を名乗る竹内さんだが、最近ある失敗をしてしまった。「ラブリコ」という自社のDIY用製品を使って自宅の玄関に大きめのシューズラックを作ったところ、それが突然倒れたのだ。「3歳の娘に『危ないから来ないで』と叫んだりして、ちょっとしたパニックになった」と苦笑いする。突っ張り棒を取り付けた直後は天井がたわんだり、床が沈んだりしやすいため特に注意が必要だが、チェックを怠ってしまったのが原因だという。 竹内さんによると、防災用の突っ張り棒を取り付けた家具や、突っ張り棒でこしらえた収納棚は時々揺らしてみて、緩んでいないか、負荷が掛かりすぎていないか点検するのが重要だ。防災用の突っ張り棒は特に地震後の確認が欠かせない。 開発部の上田さんは「突っ張り棒でなんとか支えたというぐらい大きな揺れがあった場合は、見た目に問題がなくてもポール内部にひびが入っている可能性があるので、新しいのに取り換えるのが望ましい」と話している。