「ほったらかし快老術」著者の90歳現役医師が提言「高齢者こそ生きがいを持とう」
90歳を迎えた今も現役医師として週4日高齢者施設で働いている折茂肇医師。健やかに老いていくためには「病気と仲良くすること」、「食べること(体の維持)」、「役に立つ意識(生きがい)」の3つが大切というが、自身も超高齢者となってたどり着いた答えだという。今回は、健康長寿になぜ「生きがい」が重要なのかを説明する前後編の前編。 【動画】90歳現役の折茂肇医師の回診の様子とインタビューはこちら 折茂医師は、東京大学医学部老年病学教室の元教授で、日本老年医学会理事長を務めていた老年医学の第一人者。自立した高齢者として日々を生き生きと過ごすための一助になればと、自身の経験を交えながら快く老いる方法を紹介した著書『90歳現役医師が実践する ほったらかし快老術』(朝日新書)を発刊した。同書から一部抜粋してお届けする(第9回)。 * * * 好きなこと、それがあるから前向きに生きていこうと思えること。それはつまり「生きがい」だ。3つ目の「役に立つ意識(生きがい)」について述べたい。体に悪いところがあっても、「自分が生きているかいがある」と思える何かがあれば、人は元気になれる。達成感があれば食欲もわいてくる。 内閣府「令和4年版高齢社会白書」によると、内閣府が2021年に行った「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」では、生きがい(喜びや楽しみ)を感じる程度について、「十分感じている」と回答した65歳以上の人は全体の22・9%、「多少感じている」が49・4%であったという。これらを合わせると72・3%となる。一方で、「あまり感じていない」、「まったく感じていない」と回答した人が20・5%であった。 この割合を読者はどうみるであろうか。 同調査によると、例えば、近所の人との付き合いについて、趣味をともにする、お茶や食事を一緒にするなどの付き合いをしていない人は、いずれもこうした付き合いをしている人に比べ、生きがい(喜びや楽しみ)を感じていない人の割合が高い傾向にあり、また、親しくしている友人・仲間が少ない人に関しても同様の傾向がみられた。