「部下にパワハラと思われない人」の“芸人的”アンガーマネジメント術とは?
「圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』著者・森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回話を伺ったのは、芸人を起用した企業のPR動画制作サービス「芸人インターン」などを手掛ける、(株)フラワーズロマンス代表の中道正彦氏だ。中道氏は、森社長と同じく“芸人出身”。そんな中道氏は、『スタートアップ芸人』をどう読み解いたのか。今回のインタビューでは、お笑い芸人特有の、人前で怒りを表さないコツについて伺った(構成・ダイヤモンド社書籍編集局)。 ● 怒りも不幸話も“すべらない話”に変化させる ――『スタートアップ芸人』では著者の森氏の失敗への向き合い方が書かれています。森氏は従業員が失敗しても怒らないそうですが、これは元芸人ということも関係しているのでしょうか? 芸人さんはアンガーマネジメントが得意だと聞いたことがありますが、同じく元芸人の中道さんはどう思われますか? もし、怒らないための秘策があれば教えてください。 中道正彦(以下、中道):確かに、芸人ならではの考え方があります。 芸人のさまざまな笑いの取り方の中に「エピソードトーク」というものがありますが、これは、降りかかってきたトラブルや不幸話でさえもネタにして、“すべらない話”に変化させるというもの。 芸人はそういうことを日々やってきたので、怒りたくなるような場面に遭遇しても、「これはおいしいネタになるな」と前向きに捉えるんですね。頭の中では「どんな風に組み立ててエピソードトークを披露しようか?」と考えているので、怒りを爆発させることは滅多にないように思います。 ● 大事なのは「怒りの思考から離れること」 ――「6秒ルール」という有名なアンガーマネジメントの方法がありますが、それも自然に実践しているのでしょうか? 中道:そうですね。でも、ただ待つというより「怒りの思考から離れること」が効果的なのではないかと思います。 怒りそうになった時に、トイレへ行ったり、お茶を飲みに行ったり、「物理的にその場から離れること」も効果があると言われていますが、会社では逆効果になりそうです。 例えば、部下の言動にイラッとしたあなたがプイっとどこかへ消えたとしたら、残された部下は「めっちゃ怒ってますやん……」と、顔面蒼白になるんじゃないですか? ですので、体はその場に残したまま、頭の中で空想の世界に行くのが良いと思います。 顔はポーカーフェイスを保ちつつ、この出来事を「どう面白く人に話そうか?」と考えてみる。 頭の中でどんなことを考えているかなんて、周りにはわからないですからね。 ――エピソードトークを作るのが難しいときはどうすればいいでしょうか? 中道:頭の中でお気に入りの歌を歌ってみるとか、ポジティブな言葉を繰り返し唱えてみるのはどうでしょう? あるいは、家族・親戚・友だちの名前を順番に言っていく、昨日見たテレビの内容を思い返してみる……などなど。 「怒りを感じないようにすること」は至難の業でも、“怒りの対象”から気を逸らすことで、驚くほど冷静になれるはずです。 また、メールやLINEを送る際も、怒りを感じたまま文章を打って即送信するのは非常に危険です。証拠が残る分、特に注意が必要です。 部下からパワハラと思われないためにも、自分に合った方法を見つけて試してみてください。繰り返し実践していくうちにコツがつかめて、滅多なことでは怒らない”仏の〇〇さん“と呼ばれる日が来るかもしれません。 (本稿は『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』に関連した書き下ろしです)
ダイヤモンド社書籍編集局