[立川談笑さん]早大法学部から司法試験合格を目指していた…なぜ、落語家に?
ウェルネスとーく
落語家の立川談笑さんは、実は早稲田大学法学部出身で、若いころは法曹の道を目指していたそうです。それがなぜ、落語家の道を歩むことになったのか、人生の転機をうかがいました。(聞き手・斎藤雄介) 【写真3枚】高座の立川談笑さん
「S状結腸穿孔で死にかけました」
――甲状腺がん以外にも、大きな病気をされましたか。 S状結腸穿孔(せんこう)で死にかけましたね。甲状腺がんの前、2019年11月のことです(S状結腸は大腸の一部)。 最初はね、おなかが張って、夜中に熱がちょっと出てインフルエンザかなと思っていたんです。翌日にご高齢の方と一緒の仕事があったんで、うつしてはいけないと病院に行ったら、「どうもおかしいから、紹介状を書いてあげます」って言われて。 それで翌朝、大きな病院に行ったら、執刀できる先生がいない中、別の病院に搬送されて緊急手術。 その日の仕事が午後2時ぐらいにあったんですよ。かみさんに電話して、「緊急手術になったから断って」と頼みました。あれはびっくりでしたねえ。 私の体質の問題らしくて、大腸の壁というのは厚いゴムだとすると、私の場合は風船みたいに薄くなっている部分がいくつもあるんですって。これが何かの弾みでパチンと割れると、本当は下から出なくちゃいけない便が腹の中に出てきちゃう。 ガスがたまるから、レントゲンを撮ると、横隔膜のところが真っ黒になるらしい。で、見る先生が見ると、これは腸に穴があいているとわかる。 発生から時間がたつに連れ、生存率が下がる。私は36時間ぐらいたっていたんですよ。 ――手術の後は大変でしたか。 痛みよりも、食べられないし、何より水が飲めないことがつらかったですね。ちょっと唇を湿らせるだけ、絶対飲んじゃダメ。 夜中、本当につらくて、麻酔の後の錯乱状態もあるんでしょうね。看護師さんとけんかになりましたよ。 「いつになったら水を飲めるんですか」「先生に聞いてください」「だいたいの目安だとか、これまでのケースだとこれぐらいだよというのを教えてください」「わかりません。先生に聞いてください」「来週なのか、来月なのか、10年後なのか、そのぐらいでいいから教えてください!」「先生に聞いてください!」って(笑)。 結局、水が飲めないのは2日か3日ぐらいだったかな。あれは地獄でした。水が飲めないのに比べれば、甲状腺がんのときの脂肪制限も大したことない。 ――どれくらい入院したんですか。 10日ぐらいですかね。ストーマっていう人工肛門をして、排せつ物を受け止めるバッグをつけた状態でしばらく仕事をしてましたね。NHKにも出ました。着物の中に忍ばせて半年ぐらい。それからストーマを外す手術をして、もとに戻しました。