指導50年「やるほど楽しい」専大松戸・持丸監督 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会の第6日、1回戦最後となる25日に登場する専大松戸(千葉)は初出場。チームを率いる持丸修一監督(72)は高校野球指導50年のベテランで、専大松戸を含め4校を甲子園に計9回導いた。今大会の最年長監督は「甲子園は多くの人から注目を浴びて成長させてもらえる場所。選手たちには甲子園をゴールと考えず、通過点にしてほしい」と語る。 2月下旬、持丸監督は千葉県松戸市の練習グラウンドでノックを受ける選手の動きを見つめていた。コーチが内野に打ち上げたボールを、投手が落球した。「おーい。ちょっと」とベンチ前に呼び出したのは一塁手で、「なんでお前が捕りに行かないんだ。フライ捕るのは自分の方が得意だろ」と注意した。 ◇常総学院では木内氏の後任 21歳の大学時代に母校の竜ケ崎一(茨城)でコーチとなったことが指導者としての始まり。27歳で監督に就任し、1990、91年の夏の甲子園に出場。96年に藤代(同)に移り、2001年にセンバツ初出場を果たし、03年も出場した。同県内で切磋琢磨(せっさたくま)した常総学院(同)の木内幸男元監督(20年死去)の後任として、03年に同校の監督に就任。05年センバツ、06、07年の夏の甲子園で戦った。 専大松戸には08年に招かれた。当時のチームは県大会の初戦突破もままならず、持丸監督はまず公式戦1勝を目標に定めて指導を始め、15年夏に甲子園初出場を果たした。 「監督業はやればやるほど楽しい。野球をやめたいと思った日は一日たりともない」と言い切る。教え子が野球の指導者になったり、さまざまな分野で活躍していたりする様子を知ることが一番の喜びという。 ◇野球するのは監督ではなく子ども 50年に及ぶ指導歴の中で、野球への考えや教え方は変化した。若い頃は「チームを強くして勝つことしか考えていなかった」。練習中は「これをやれ、あれをやれ」と命令するように指導したという。しかし、竜ケ崎一の監督だった40歳のころ、先輩の指導者から「試合で野球をするのは監督ではなく子ども。試合までに部員をしっかりと育てることが監督の役目」と言われ、指導法を改めた。 古希を超えた監督は野球を「人が還ってきて1点が入るスポーツ」と表現する。一人ではできず、ナインが互いを思いやることの大切さを説く。エラーをした部員と同じように周りの部員も叱るのは「周囲のことを考え、自然とカバーに入れる選手になってほしい」との思いからだ。野球を通じて「社会に出た時に必要なことを学んでほしい」と願い、9回目の甲子園に臨む。【長沼辰哉】 ◇全31試合を動画中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、大会期間中、全31試合を中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。