「ダサい」「時代遅れ」と思われていたお菓子のパッケージ変更が大炎上…あえての“炎上商法”は本当に効果があるのか?
「炎上商法」がうまくいった例
炎上商法の成功例として有名なものに、ルーマニアのチョコレート菓子メーカー「ROM」のプロモーションがあります。「ROM」はルーマニア国旗をデザインしたパッケージで、長く国民に愛されてきました。しかし、近年は「ダサい」「時代遅れ」というイメージで人気が低迷していたそうです。 そこで2010年に、パッケージをアメリカ国旗をモチーフにしたデザインに変更すると宣言しました。これがルーマニア国民の愛国心に火をつけ、非難や批判が殺到しました。それはメディアでとりあげられ、社会的な盛りあがりとなりました。その後、すぐにパッケージデザインはルーマニア国旗に戻され、今回の宣言が注目を集めるためのジョークだったことがメディアで発表されます。この一連の騒動で多くの人が「ROM」に興味を持ち、商品である菓子は爆発的に売れました。これが、炎上商法で成功した事例です。 好きになることの逆は嫌いになることではなく、無関心であることです。生活の必需品ではない嗜好品の商品を買ってもらうには、その商品を好きになってもらわなければなりません。そのためには、まずそれに関心を持ってもらうことが必要です。そのきっかけとして、ネガティブであっても訴求効果の高い内容で話題となれば、多くの注目を集めることができます。無為無策で無関心のままでいられるよりも、悪目立ちして炎上するくらいのほうが印象に残るので、まだその後で好きになってもらえる可能性はあるというわけです。 けれど、炎上商法の成功例は少ないようです。炎上して関心を集めるところまではいいのですが、その後のコントロールがうまくいかないのです。なぜなら、炎上にいたったネガティブな要素によって、商品や企業の信頼性や好印象のイメージはかなり低減します。いったん注目されても、そこから次にポジティブな方向へ消費者の関心が動かないことには意味がありません。 そして、なにより大きいのは、炎上によって「嫌い」になられてしまうことの影響でしょう。無関心なものへ関心を向けさせる、という狙いを超えて一気に嫌われてしまったら、それを反転させて「好き」にするのは至難の業です。
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