知っているようで実は知らない!? 燃料電池の仕組みを「ホンダCR-V e:FCEV」で学ぶ
そもそもどうやって発電しているの?
読者諸氏の皆さまは、FCスタックの中身をご覧になったことがあるだろうか? 燃料電池の構造と仕組みを、具体的に説明できますか? 【写真】最新の水素燃料電池の仕組みを、写真や図解でチェックする(14枚) 記者はもちろん、そんなものは見たことない。仕組みについても「ああアレね。学校で習った“水の電気分解”の逆のやつ(汗)」とごまかしてきた人生だった。そりゃあ確かに、FCスタックのハコを拝む機会は何度もあったが、その中身をつぶさに見て、現物を前に仕組みを理解する機会というのは、ついぞなかったのだ。 それが、過日催された「ホンダCR-V e:FCEV」の試乗会にて、とうとうその機会に恵まれた。せっかくなので、貴重な学びを忘れる前にここに記しておこうと思う。皆さんの需要があるかは知りませんが(笑)。 さっそく、まずは燃料電池が電気を発生する仕組みのおさらいから始めましょう。よく耳にする、「水素と酸素が反応して、水と電気が(ついでに熱も)発生する」というやつで、化学式にするとこんな感じだ。 2H2+O2→2H2O いや、これじゃどこでどうして電気が発生するのかわかりませんな。というわけで、もうちょっと分解すると、こんな感じになる。 【負極(水素極)】H2→2H++2e- 【正極(空気極)】O2+4H++4e-→2H2O ……早くも、文系の同士諸君がブラウザバックしようとしている気配がプンプンである。記者も文系なので気持ちはわかるが、ここはちょっと、頑張っていただきたい(汗)。 そもそもだが、一般的な燃料電池車(FCEV)のセルというのは、電解質膜を水素極と空気極で挟んだ電極集合体を、セパレーターで挟んだ構造をしている。上述の化学式は、その水素極と空気極で起きる現象を表したものだ。 すなわち、水素極では水素(H2)が電子(e-)を失って水素イオン(H+)となり、いっぽう空気極では、水素極から来た水素イオンと電子が、酸素(O2)とくっついて水(H2O)ができるというわけだ。この際、水素イオンは電解質膜を通過して水素極から空気極に移るのだが、電子は電解質膜を通れないので、外部の回路を通じて空気極に移動することとなる。……そう! 「回路を電子が移動する」のである! 燃料電池は、こうして電気を起こしているのですね。