母親の虐待で“全盲になった”31歳女性。現在も「改名前の名前を聞くと身体が硬直します」
稼ぐため「全盲の風俗嬢」に
だが破滅的な関係に身を委ねた風間さんの蝕まれた精神は、限界を迎えていた。 「当初、彼との関係について、私は『金銭的にも楽になるし、こんな自分でも求めてくれるなら』と考えていました。しかし親子ほど離れた年齢の私の身体を縛り、弄ぶ男性から求められても、どこか満たされない思いがありました。ある日、『死にたい』という気持ちが募り、自殺未遂を図って。それまでもカッターやカミソリで手首を切る程度のことはありましたが、睡眠薬を40錠近く飲んで意識を失ったんです。その後、病院で複雑性PTSDであると診断を受けました」 一命は取り留めたものの、風間さんの“性”の捉え方は劇的に変わっていった。 「稼がなければいけないので、テレクラやデリヘルでアルバイトをしていました。全盲の風俗嬢ということで難色を示すお客さんもいましたが、外見によって対応を変えないから、かえって喜ぶお客さんもいました。性を売り物にしていくなかで、私は『どんなに立派な講釈を垂れている男性でも、結局最後は私を抱くんだな』とやや斜に構えた見方をするようになりました」
昔の名前を聞くと「身体が硬直する」
性を謳歌することとも違い、ある種の復讐心の代替として性を売る。当然、危険も伴うことが予想されるが、「当時はむしろ願ったりだった」と風間さんはため息交じりに話した。 「危険なことはわかっていました。目が見えず裸でいる私を殺すことなど、客なら誰でもできたでしょうね。でもあのときは、『誰か殺してくれよ』と思って生きていました」 現在、風間さんは平穏な日常を送れているという。今年3月に離婚したものの、元夫との結婚が人生にとって大きなターニングポイントになったと話す。 「どこかでずっと、自分が生きていること、虐待のトラウマを引きずり続けている自分のことが許せなかったのですが、自分を許してあげていいんだと思えたのが、元夫との結婚でした。彼とは現在も関係が良好で、私は今でも彼の苗字を名乗っています。また、下の名前は、昨年12月に家庭裁判所で変更する手続きを取りました。やはり昔の名前を聞くと身体が硬直し、恐怖が押し寄せてくるんです。特に母親から呼ばれていた昔の名前にはもう、戻りたいと思えません」