本当は怖いリンゴ病 ワクチンないのに胎児に影響、流産・死産の原因 今後流行のおそれも、予防するには?
4~5年周期で、5年前に流行
リンゴ病は4~5年周期で流行することがわかっています。近年は2007年、2011年、2015年、2019年に流行しました。季節としては春から夏にかけて流行する傾向がありますが、2015年、2019年の流行では、前年の秋頃から流行が始まり、翌年に全国的な流行につながったということでした。 山田さんは「近年はコロナ禍の影響で、例えばインフルエンザなどの感染者数の報告が減っていました。専門家としては、人と人との接触が戻ってきた今、そろそろ流行の可能性があるとみています」と警戒しています。 今年9月には、神奈川県川崎市で6年ぶりとなるリンゴ病の流行発生警報が発令されました。 山田さんは「2011年に厚労省と大規模な調査をしてから、それに続くような調査は行われていません。流行が4~5年ごとということで、対応が後手に回っているようにも思われます」と指摘します。 リンゴ病の原因がパルボウイルスB19であることが提唱されたのは1983年と、比較的、最近のこと。さらに、子どもも大人も基本的には自然に軽快し、胎児以外は重症になりづらいことで、ワクチン開発やそれ以外の予防法、胎児が感染していた際の治療法の確立も進んでいない、と問題点を指摘します。 「まずはリンゴ病が胎児の流産・死産の原因になること、新型コロナウイルス感染拡大時のような感染対策によりリンゴ病も予防できることを知ってほしい」と話します。 「本来であれば、妊娠がわかったときや妊娠を希望する時点で、パルボウイルスB19の免疫の有無をIgG抗体の測定で測定するべきですが、保険適用になっているのは感染のおそれがある場合のIgM抗体の測定のみです。 基本的な感染対策以外の予防法が確立されていない以上、教育や啓発が必要ですが、それと合わせて、もし感染していたときでもなるべく安心して出産に臨めるような体制を整えるべきではないでしょうか」