本当は怖いリンゴ病 ワクチンないのに胎児に影響、流産・死産の原因 今後流行のおそれも、予防するには?
予防は基本的な感染対策のみ
子どもの頃にリンゴ病にかかっていて免疫があれば、妊婦も感染しづらいといいます。一方で、山田さんは「日本人の妊婦の抗体(免疫)保有率は20~50%」といいます。つまり、半数以上の妊婦がウイルスに感染する可能性があることになります。 パルボウイルスB19の感染経路は、感染した人の唾液、痰、鼻水の中に出て、人から人へとうつる、接触感染と飛沫感染です。両頬に赤い発疹が出て、リンゴ病とわかる症状が見られる前から、ウイルスを排出していることがポイントです。 家庭内で感染者と接触した人の約50%が感染し、学校の流行では感染者と同じクラスの生徒の10~60%が感染するとされます。家庭内にリンゴ病の子どもがいる場合だけでなく、地域でリンゴ病が流行している場合や、子どもと接することが多い職業では、特に注意が必要です。 一方で、ワクチンは開発されておらず、母体から胎児への感染を防ぐ方法も確立されていません。 山田さんは「感染者の咳やくしゃみを吸い込まないようにマスクをすること、感染者と食器などを共有しないこと、子どもにキスをしないこと、よく手を洗うことやこまめにうがいをすることが感染予防になる」と説明します。 妊婦がリンゴ病の人と接触した、かかった可能性がある場合は、症状だけでの診断が難しいため、接触の有無や職業などの問診に加えて、血液中のIgG抗体、IgM抗体を測定します。 一般的に、 ウイルス接触後、数日から1週間でウイルス血症(他人に感染する時期)となり、約10日目よりIgM抗体が検出され始め、数日後にIgG抗体が上昇します。IgM抗体は感染直後には見られず、数週間で消失。IgG抗体はウイルスにもよりますが、長期間、体内に残ります。 妊婦のパルボウイルスB19感染では、IgG抗体が高ければ母体に免疫がある状態、IgM抗体が陽性なら最近になって初めて感染した可能性があるため、胎児へのリスクがあります。妊婦はIgM抗体の検査は保険適用、IgG抗体の検査やウイルスを調べるPCR検査は自費の扱いになります。 妊婦のIgM抗体が陽性であれば、週1回程度、エコーなどで胎児の状態を調べ、異常があればより専門的な医療機関で、胎児輸血などの高度な治療が施されることもあります。