「エムポックス」はどう広まる? WHOが「緊急事態」を宣言、致死率の高いウイルスが流行
検査は受けられる? ワクチンはある?
エムポックスの検査は受けられる。検体の採取は、病変の部位を綿棒でぬぐうだけだ。CDCは、エムポックスと思われる発疹がある場合のみ検査を受けるよう勧めている。 現在、WHOの予防接種に関する戦略的諮問委員会が推奨しているワクチンは3種類あり、いずれも本来は天然痘のワクチンだ。このうち、現在、世界では「MVA-BN(ジンネオス)」と「LC16」の2種類が使われている。 米国で使われているのはジンネオスで、4週間間隔で2回の接種が必要だ。米国保健福祉省は(感染した人との濃厚接触が疑われるなど)リスクが高い人に対して接種を奨励しており、必ず2回とも接種を受けるよう呼びかけている。 日本ではLC16が天然痘のワクチンとして承認されていたが、2022年にエムポックスの予防の効能が追加承認された。こちらは1回接種だ。 良い知らせもある。米保健福祉省によれば、すでにワクチン接種を完了している人や、以前にクレードIIのエムポックスに感染した人は、「クレードIのエムポックスに感染しても重症化しにくいことが期待される」という。 しかし、AP通信によれば、ワクチンはエムポックスの流行地域であるアフリカの国々で足りていないという。WHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したことで、WHOは加盟国にエムポックスへの対処法を勧告することが可能になり、資金援助や政治的な支援も始まることになる。
文=Sharon Guynup and Amy McKeever/訳=三枝小夜子