ザックJの守備は立て直せるか
ミーティングで守備のミスを緊急チェック
一方、失点の時間帯に目を向ければ、別の問題が浮かび上がってくる。 コンフェデレーションズカップで喫した9失点のうち、実に8失点が前後半の開始、終了10分以内に奪われたものだった。中国戦でも1失点目を4分、2失点目を80分、3失点目を86分に与えている。 とりわけ残念なのは、中国戦やイタリア戦のように、リードしていたのに追い付かれたり、逆転されたりする終了間際の失点だ。掴んでいたはずのゲームの流れを相手に譲り、みすみす白星を逃してしまうのは、ゲームコントロールにも問題があるだろう。 中国戦ではPKを決められ、1点差に詰め寄られると、ロングボールを放り込まれてディフェンスラインが下がり、流れを断てないまま3点目を奪われた。 その際の栗原と駒野の対応は前述したとおりだが、ディフェンスラインが低いとどうしてもゴール前で跳ね返すことになる。そうなると、DFの身長の高さに難があるザックジャパンは、自ずとやられる可能性も高くなる。 それなら、ラインを上げればいい。だが、事はそう簡単なものではない。 ラインを上げれば、DFとGKの間に広大なスペースが生まれることになる。そこを突かれれば致命傷になりかねないから、精度の高いフィードを送り込まれないように、相手のDFやMFにしっかりプレッシャーを掛ける必要がある。 「でも……」と、中国戦で途中からボランチを務めた高橋秀人が説明する。 「中国戦では疲弊して、みんな足が止まってしまった。そうなると、ラインは簡単には上げられない」 その点に関して、前線からプレスを掛けたり、パスコースを限定したりする側の、トップ下の高萩洋次郎も振り返る。 「後半は運動量が落ちてルーズになってしまった部分がある。個人としてもチームとしても、最後までしっかりプレスに行けるようにしたい」 しかし、だからといって、開始直後から攻守において全力を注いできたアタッカーに、終了間際まで隙のないプレッシングを求めるのには、限界もある。コンフェデレーションズカップでも、本田圭佑は終盤になると毎試合のようにガス欠を起こしていた。 だとすれば、前線にフレッシュな選手を送り込み、プレスの強度を強めるのも一考だ。そこは、ザッケローニ監督の選手交代の手腕が問われることになる。