ザックJの守備は立て直せるか
なぜ日本人DFは寄せきれないのか
ザックジャパンの失点が止まらない。 ブラジル、イタリア、メキシコと対戦したコンフェデレーションズカップで叩き込まれた9失点の疵がまだ生々しいというのに、東アジアカップの中国戦でも2点のリードを守れず、3-3の引き分けに終わった。 今年のゲームを振り返ってみても、カナダ戦で1失点、ヨルダン戦で2失点、ブルガリア戦で2失点、オーストラリアで1失点を喫していて、相手を無得点に抑えたのはラトビア戦とイラク戦、2試合しかない状況なのだ。 10試合18失点――。その要因を探るとき、最も分かりやすいのは、個人の能力にそれを求めることだ。つまり、「1対1の競り合いに負けたのが原因だ」というように。 中国戦のスコアとフォーメーション 例えば、中国戦の1失点目の場面では、ペナルティエリア内で栗原勇蔵が振り切られそうになり、相手ともつれるようにして倒れ込み、PKを宣告されている。 その直前、クロスをクリアし切れず、相手に渡してしまったのも栗原で、「1対1で自分が抑えていれば問題ない場面だった。開始早々で足がまったく動かなかった。あれは俺個人の問題」と反省しきりだった。 クロスからボレーを叩き込まれた3失点目も、個人の問題として片づけることも可能だ。失点の直前、治療していた栗原がピッチに戻ってきたばかりだったため、左サイドバックの槙野智章とポジションを入れ替えていたという事情があるにせよ、栗原のマークミスだったことは否めない。 とはいえ、クロスでやられてしまうのは、守る側にとって嫌なところに精度の高いボールを放り込まれているからでもあるはずだ。 1失点目も、3失点目も、右サイドバックの駒野友一が簡単にクロスを入れさせてしまっている。ただ近くに寄っているだけで、相手にとって障害にもプレッシャーになっていないのではないか。そこに「寄せの甘さ」という問題が見え隠れする。 「寄せの甘さ」は、なにもクロス対応に限った話ではない。 例えば、コンフェデレーションズカップのブラジル戦。開始早々に先制点を奪われた場面で、クロスを入れたマルセロ、胸で落としたフレッジ、ボレーシュートを放ったネイマールに対し、日本の選手は寄せ切れていない。大会後、「あと一歩、寄せられるかどうかが今後の課題だと思う」と振り返ったのは、吉田麻也だった。