「口説いてはいけない人」を口説く男へ…村上春樹のシンプルな忠告が容赦ない
ふたりきりの食事=気がある――。ただ美味しいものを食べたかった女性を襲う男性の勘違いはなぜ起こるのか。口説いてはいけない人を口説く男たちへ…あの村上春樹が放った“シンプルな忠告”が辛辣だった。※本稿は、近藤勝重『人間通の名言 唸る、励まされる、涙する』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 3度食事をすれば 男女の相性はわかる 駅前の喫茶店で隣り合わせになった、若い男ふたりの会話に聞き入りました。 隣り合わせに座っていたので、話し声が高く自然に耳に入ってきたのですが、どうやら女の子に関わる話のようです。 つい聞き耳を立ててしまいました。 「で、どうだった?」 性急に聞き出そうとする相手に「いや……」と口ごもったまま言葉が出てきません。 「え!?またダメだったのか?」 「……」 「デート3度目だろ?」 これは面白い話になるぞ、と僕の頭のメモ帳が開きました。 「2度空振り。今回はうまくいくと思ったんだけどな……」 「駄目だったか……“3度目の正直”って言うけどな」 「3度目の正直?」と相手は聞き返しながら、スマホで検索し始めました。 「……最初の2回は失敗しても3度目はうまくいく……って何だよ!何が正直だ!」 「確かに……」 2人は黙ったままスマホに目を落としているので、僕は席を立ちました。 歩きながら、3度か……「仏の顔も3度まで」「石の上にも3年」、そうそう「居候3杯目にはそっと出し」という言葉もあるなあ、3は見極めの数字か……などと考えをめぐらしていると、ふと思い出した言葉がありました。 以前テレビ番組で紹介されていた、日本映画の巨匠と呼ばれた小津安二郎氏(1903-1963)のこんな言葉です。 男女の仲というのは 夕食をふたりっきりで3度して それでどうにかならなかったときは あきらめなさい(小津安二郎)