プライベートクレジットの老舗が苦戦-市場にとっての警戒シグナル
アルセントラのダイレクトレンディング部門の問題の一部はパフォーマンスにあった。ブルームバーグの調査によると、同社は19年以降、複数の債務株式交換に関与している。融資先企業がうまくいっていない兆候だ。
アルセントラのファンドに投資しているストラスクライド年金基金の資料によると、アルセントラは昨年6.7%のリターンを提供した。一方で、他の2つのプライベートクレジット投資であるベアリングスとパートナーズ・グループのリターンは、それぞれ10.9%と11.1%だった。ストラスクライドが投資を開始した以降の全期間では、アルセンタは同業他社と比較しても良好な実績を残している。
ストラスクライドは、最近のいくつかの問題がどこから生じたかについて率直に指摘している。「アルセントラは上級管理職の離職率が高く、オーナーが交代した」。文書によると、同基金はアルセントラへの投資を終了することを決定している。
プライベートクレジットファンドへの投資経験が豊富なバシリオス・コケイラス氏は、投資家が求めるのは「パフォーマンスとチームの一貫性だ」と述べた。
小規模なプライベートクレジット会社が、一貫性を維持し新規の資金調達を軌道に乗せるのが難しくなっているため、ブラックストーンやアレスなどのプライベートキャピタル巨大企業が市場の成長の大部分を占めるようになっている。リミテッドパートナー(LP)として知られる投資家はその資金で、大手への支持を表明している。
プライベートクレジット市場の負け組側では、ゾンビファンドの出現を懸念する声も聞かれる。ゾンビファンドというのは、流動性の低い資産を大量に保有し、追加投資のための資金も調達できない状態のファンドだ。 こうしたファンドはゆっくりと衰退していく。 プライベートエクイティー(PE)ではよく見られる光景だ。
プライベートクレジットでは、資産は固定満期のローン債権であるため、PEとは異なり永久にその状態が続くということはない。しかし、ファンドの将来は追加資金の調達能力と規模拡大の持続可能性にかかっている。新しい資産クラスが成熟するにつれ、パフォーマンスの低さが苦境につながる可能性がある。