「審判は味方につけなアカン」阪神・岡田監督の注文は4連続四死球の青柳にも通じる金言 勝負の世界は怒ったら負け
「DeNA3-4阪神」(10日、横浜スタジアム) 中13日の1軍復帰登板。近本の先頭打者アーチで1点の援護を得た阪神・青柳だったが、初回から制球が微妙に乱れた。先頭の神里こそ空振り三振に仕留めたが、関根に四球を与えると、佐野には死球。坂本の構えたミットが動く逆球もあった。 【写真】押し出し四球を与えた青柳 厳しい判定にムッ 思わずマウンドを蹴り上げる 1死一、二塁で4番の牧。フルカウントからの外角球をボールと判定されると、青柳は山本貴球審に向かって『いやいや入ってますよ』とばかりに何度か手を振り、苦笑いを浮かべていた。このボールも、坂本が構えたミットの位置とは少し異なっていた。 満塁となって宮崎。1ボールからの際どい内角球に山本貴球審の手が上がらないと、マウンド上の右腕はムッとした表情を漂わせた。異変を察した坂本がタイムを取って青柳に駆け寄り、うまく間を取った。それでも、カウント2-2からの外角スライダーをボールと判定されると、続く外角直球は明らかに外れ、押し出し四球を出した。4連続四死球で同点。筒香を遊飛、山本を見逃し三振に仕留めて最少失点で乗り切ったが、三塁側ベンチに戻る青柳は山本貴球審に2度も鋭い視線を向けた。それは判定に対する不満の色に映った。 阪神OBの中田良弘氏は「確かに球審の判定は厳しかった部分もあったと思う。ただ、DeNAの東も同じようにストライクだと思った球をボールとコールされていた。青柳だけに不利な判定だったわけじゃない」とし、続けて「判定が不服で怒ったとしても、ストライク、ボールにリクエストはないし、悔しい思いはあるにしても、あの場面で感情を出すことがプラスに作用することはないんだよね」と解説した。 岡田監督は今季4度目の完封負けを喫した7日の広島戦後、八回1死満塁の絶好機で見逃し三振に倒れた佐藤輝に対し、「ボール振るバッターやから。味方につけなアカンわ、審判も。選球眼のええバッターやったら、審判も人間やからボール言うかも分からんで」と、常日頃からボール球を振らないスタイルを確立することが、自身を助けることにつながると力説していた。 審判は機械ではなく、感情を持った人間。それゆえ、自らのジャッジに対して不満の色を浮かべる相手に対して、好ましい感情を抱かない可能性だってある。置き換えれば、自らのジャッジがもしかしたら間違っていたのかもと思わせるような振る舞いをすることの方が、その先の展開、次回以降の登板を見据えても得策に当たるのではないだろうか。 しかし、プレーする側も1球に全力を傾注する感情を持った生き物。全ての感情を無にして戦うことは難しく、どのシチュエーションにおいても能面を貫くことが正解であるとは思わない。だが、自分のため、チームのためを思うならば、時として自分を押し殺し、平静を装うことも必要な場面もあるということだ。(デイリースポーツ・鈴木健一)