【日本株週間展望】続伸、インフレ転換と円安評価-年度末で乱高下も
(ブルームバーグ): 3月第4週(25-29日)の日本株は続伸する見通し。日本で17年ぶりの利上げが行われた中、インフレ経済への転換を評価する買いで相場が堅調だった流れが続く。足元で為替が円安方向に振れていることもプラスとなりそうだ。
一方、日米双方で金融政策に影響を及ぼす重要な経済指標の発表を控える。国内で追加利上げへの警戒が高まり、米国で利下げ観測が後退すれば、乱高下するリスクはある。ファンドや金融機関から決算対策や持ち高調整の売りが出やすい年度末特有の株式需給にも警戒が必要だ。
第3週の東証株価指数(TOPIX)は週間で5.3%高と大幅反発。2022年3月以来、2年ぶりの上昇率を記録した。日本銀行が19日にマイナス金利政策の解除を決めた一方、緩和的な金融環境を続ける姿勢を強調。米連邦公開市場委員会(FOMC)は5回連続で政策金利を据え置き、年内3回の利下げ予想を維持したため、政策不透明感の後退で日本株は再び上昇基調を強めた。28日には今回の日銀金融政策決定会合の主な意見が公表される。
注目される国内の経済指標は29日の東京都区部消費者物価指数(CPI)だ。全国CPIの先行指標であり、3月の生鮮食品を除くコアCPIは市場予想で前年比2.4%上昇と前月(2.5%)からやや伸びが鈍化すると見込まれている。植田和男総裁は利上げ決定後の会見で、物価見通しの上振れや上振れリスクの高まりは政策変更の理由になると述べていた。
29日は米国でも2月の個人消費支出(PCE)価格指数の発表がある。米連邦準備制度理事会(FRB)が重要視する指標で、市場予想では前月比0.5%上昇と1月の0.2%から上昇率が拡大する見通し。前回の発表はほぼ市場予想と一致し、株式相場を押し上げた経緯がある。
《市場関係者の見方》
大和アセットマネジメントの長野吉納調査部長
日本株の方向としては基本的には上昇するとみている。市場では日銀の政策変更は3月か4月にあることは織り込まれていた。堅調な相場は来週も続きそうだ。主な意見では2回目の利上げについて具体的な手がかりがあるかが注目される。年度末で上昇ペースが速かったこともあり、利益確定の売りが出るなど一過性の需給要因で株価が上下に振れる場面もありそうだ。