空気中のゴミを可視化してみたら…思った以上に汚れていた
もし、あなたが呼吸しているさまざまな場所の空気の質が目に見えたとしたら、おそらく途端に外出をためらうことになるでしょう。一方で、知らぬ間に広がる大気汚染の現実を浮き彫りにすることは重要なことといえます。今回、科学者とアーティストによる研究チームがそんな発表をしました。 【全画像をみる】空気中のゴミを可視化してみたら…思った以上に汚れていた
空気中の粒子状物質を可視化する研究
『Air of the Anthropocene(人新世の大気)』というプロジェクトの一環として発表されたこの研究は、Nature誌のCommunications Earth & Environmentに掲載されました。 論文にも掲載された複数の画像は、PM2.5やPM10もその一部として知られる粒子状物質が世界中に広く存在していることを示しています。 粒子状物質は、非常に小さく、また空気中に浮遊していて、その存在も広く知られています。今回の研究ではその存在を目に見える形で明らかにするために、さまざまな技術が使われています。 研究チームは、粒子状物質の質量濃度に応じて点滅するようにプログラムされたLED(発光ダイオード)のアレイを作成しました。つまり、大気が汚染されているほど配列されたLEDが点滅して明るくなる、という仕組みです。このLEDのアレイを利用して、いくつかの場所で長時間露光画像を撮影します。さらにその撮影した画像内の風景のなかで、最も汚れている部分を強調した「ライトペインティング」を作成しました。
大気汚染への関心と脅威
今回の研究では、イギリス、エチオピア、インドのさまざまな地域で撮影を行ないました。そのなかには、予想外の場所でも空気の質が悪い場合があることも示していたそうです。 バーミンガム大学の環境学者であり、研究の筆頭執筆者でもあるFrancis Pope氏は、米Gizmodoのメール取材に対して以下のように述べています。 チームとしては、人々に大気汚染の問題を提示するという目的だけでなく、汚染物質との接触についてのアドバイスを示すことも注力しています。 ゆえにエチオピアでの活動では、関心と議論を喚起する手段として、ライトペインティングを使用しました。ライトペインティングをポストカードに印刷し、さらに大気汚染についてと、汚染物質との接触を減らす方法を詳細に記しました。 研究の共同執筆者であり、オーディオビジュアルアーティストでもあるRobin Price氏は、米Gizmodoに対して以下のように語っています。 私たち(Price氏とPope氏)は、2017年から大気汚染の可視化に取り組んできました。このプロジェクトは素晴らしい経験となり、私たちは繰り返しアプローチをしてきたのです。 論文で最初に紹介した写真は、ウェールズのポートタルボットにある製鉄工場で、この巨大な工業施設に対する住民の懸念から選ばれました。これが最初のライトペインティングであり、その後私たちは世界中で調査と撮影を行なっています。 WHO(世界保健機関)によると、世界の人口の99%が汚染物質を含む空気を吸っており、大気汚染が原因となる早期死亡者が毎年700万人いるそうです。また、WHOは大気汚染の一般的な発生源として、家庭用の燃焼機器、自動車、工業施設、森林火災などを挙げています。