空気中のゴミを可視化してみたら…思った以上に汚れていた
環境格差も可視化される
こちらはエチオピアの首都であるアディスアベバです。空港周辺で特に開発が進んだ地域といえます。研究チームは、粒子状物質の濃度を1立方メートルあたり10~20μgの範囲で観測しました。これは世界の主要都市と比べると比較的低い数値といえます。 この屋外の画像と、記事冒頭の同じくアディスアベバの屋内キッチンの画像を比べると、キッチンの方が約20倍も濃度が高いことがわかっています。これは、比較的近い場所に住む、あるいは働く個人の間でも、大気汚染へのリスクが大きく異なることを示しているともいえるのです。 おそらく、このライトペインティングのシリーズで最も印象的といえるのが、こちらのインドの2カ所の遊び場で撮影された画像だと思います。 それぞれパラムプールとデリーにあり、距離はおよそ500km以上離れている場所です。空気中の粒子状物質の量は右側のデリーの遊び場の方が多いことは画像からも明らかでしょう。パラムプールに比べて約12.5倍だったそうです。大都市のデリーは空気の質が悪く、丘陵地帯のパラムプールは空気がきれいとわかります。同じ国でも環境格差が生じている例であると、論文でも指摘しています。
オープンソース化してプロジェクトを拡張
このプロジェクト、そして制作されたライトペインティングはアメリカのロサンゼルス、イギリスのベルファストとバーミンガムで展示されています。 さらにチームは、このプロジェクトをオープンソース化することで、世界中の科学者が独自のライトペインティングを制作できるようにしました。昨年は、ウェルビーイングに焦点を当てたヨーロッパ各地の大学が集まる大学連合であるEUniWellとのコラボレーションにより、オランダのライデンでライトペインティングの制作を含むワークショップも行なわれました。 さて、"無知は幸福"だと改めて言えると思います。しかし、それは咳き込むまでの話です。LEDによる光のなかに大気汚染を見ることで、それがどこにでも存在していることを改めて感じさせます。そして、地球上のどこにいても人間の健康に深刻な危険を及ぼすという厳しい現実を思い出させます。
ヨコヤマコム