日本金属、本社ビル売却。通期純益予想17億円に黒字転換
日本金属(社長・下川康志氏)は24日、24年3月期連結業績予想のうち純利益予想を15億円の赤字から17億円の利益へ上方修正した。本社ビル用地・建屋を12月26日予定で売却し、23年4~12月期決算において譲渡益42億900万円(見込み)を特別利益として計上する。 一方、顧客である東京ラヂエーター製造の一部製品を搭載した車両が22年12月に国土交通省の定めるリコール対象となった件をめぐって、同社や関係各社と協議の上、2億円相当を負担することで合意したため、同額を23年4~12月期決算で特別損失として計上する。 現本社ビルは売却後は賃借し、来年8月に近隣(東京都港区芝5―29―11 G―BASE田町9~11階)に移転する予定。同居する日金スチール本社も一緒に移転する。資本効率の向上、財政基盤の強化、成長投資資金の確保を目的に売却するもので、これを機に業務の効率化や多様な働き方を実現するオフィス環境を整備し、従業員がより働きやすい職場環境を確保する。 東京ラヂエーター製造では、日本金属の冷間圧延ステンレス鋼帯を素材として製造した一部製品で不具合が発生し、その製品を搭載した車両がリコール対象となった。これに伴う補償費用などにつき協議を行っていた。 売上高や営業・経常赤字予想は修正しない。今回公表した特別利益は板橋工場第三圧延工場の火災事故以降の業績悪化に対する運転資金の手当、新規事業に対する投資などに充当するため、配当予想は無配のままとする。