居酒屋の倒産が過去最多ペース コスト上昇で苦戦鮮明に
帝国データバンクは3日、居酒屋の倒産(負債1000万円以上、法的整理)がコロナ禍の打撃を受けた2020年の189件を大幅に上回り、年間最多更新が確実だと明らかにした。2024年の倒産件数は11月末時点で203件。居酒屋ニーズの変化や酒類・食材など原材料の仕入れ価格高騰、人件費の上昇などコストアップが重なり、居酒屋業態の苦戦が鮮明となっている。
同社が10月までの推移を基にした2024年度の居酒屋市場規模(事業者売上高ベース)は、推定で約1兆6600億円を見込む。コロナ禍で落ち込んだ2021年度の約8900億円からは増加傾向にあるが、過去10年で最高だった2017年度の約1兆8900億円の水準には届かないとみられる。
同社はインバウンド消費の拡大による客数増は好材料だが、大規模な宴会から少人数でのカジュアルな飲み会に需要がシフトしていること、物価高による節約志向の高まりが来店頻度や単価の下落を招いていると指摘。仕入れ価格の高騰や人件費、光熱費、地代・家賃といったコスト負担の増加が収益を大きく圧迫しているともした。
同社によると、2023年度に最終損益が赤字となった居酒屋は約4割で、コスト増における収益の圧迫で減益となったケースを含めた業績悪化は約6割を超えた。大手居酒屋ではハンバーガー店やカフェへの業態転換を図る「脱居酒屋」の動きもみられると同社。中小零細は対応策が限られることから、「コロナ禍では見えづらかった居酒屋の優勝劣敗がさらに進むとみられる」とした。