JのCS決勝展望。ガンバの下克上Vの可能性は?
「試合前の全体練習の最後で、青山は長いボールを黙々と蹴ることが多い。おそらく試合へ向けたイメージを膨らませているのだろう。ピッチ全体を見渡せているから、行けると思ったときにワントップの佐藤寿人に出す縦パスや、サイドを大きく変えるパスを出せる。相手の守備網を突破するときのワンタッチパスと、無理をしないときのワンタッチも完璧に使い分けられるし、バイタルエリアが空いたと思ったらすっと入っていくときの判断力も研ぎ澄まされている。 守備でも、たとえばセンターバックの千葉あたりが誘き出されたときにはしっかりと埋める。戻るべき場所を瞬時に察知できる点は、ガンバのキーマンである遠藤にもないといっていい。もちろん、闘える選手でもある。選手選考はあくまでも代表監督の専権事項であることを承知の上で、それでもA代表に呼ばれないのはなぜなのかと不思議に思ってしまうほど、いまの青山は心技体のすべてで充実している」 ファーストとセカンドの合計となる73得点は最多で、30失点は最少。攻守のバランスが完璧なハーモニーを奏でる、まさに隙がない広島をいかに攻略すればいいのか。 G大阪の攻撃を差配する遠藤保仁は、広島と同じシステムの浦和戦でヒントを得ている。 「間延びしたおかげで点を取れたと思う。間延びすると浦和のペースになりがちなんですけど、そこを上手くカウンターで仕留めることができた」 後半開始早々。G大阪は狙い澄ましたように前へ、前へと怒涛のプレスを仕掛ける。その結果として浦和の守備陣は押し下げられ、さらに左右に広げられた。 GK西川周作からボールをもらったDF那須大亮が、右タッチライン際のDF森脇良太へパスを出す。そこへ、待っていましたと飛び出してきたMF大森晃太郎がカット。そのままショートカウンターを仕掛け、西川へプレッシャーをかけた後に前線へ残っていた今野が鮮やかなゴールを決めた。 水沼氏も前線からの激しいプレスが広島のリズムを狂わせる有効な対策となるとしながら、場合によっては「もろ刃の剣」となりうるとも指摘した。 「3バックのチームを苦手としていないガンバの長谷川監督は、浦和戦のように前からどんどんプレッシャーをかけてくることが多い。ただ、広島のビルドアップは浦和よりも上手い部分があるし、青山と柏木の特徴も違う。最後までしっかりとプレッシャーをかけないと、左右のワイドの選手を上手く使われるおそれも出てくる。それでも、前からプレッシャーをかけないと苦しくなるだろう。そして、ボールを奪ったときにはパトリックの巨体をいかに上手く生かせるか、という展開になってくるのではないか」