東京都知事選、小池百合子と蓮舫が“似て非なる”4つの理由…「クールビズ」「2位じゃダメ」に見る2人の違いとは?
■ 小池氏と蓮舫氏、4つの違い 小池氏と蓮舫氏の決定的な違いがあるとすれば、有権者が候補者を選択するときの有力なよすがとなるだろう。 第一に、その「政治スタイル」が異なる。 小池氏は、「劇場型」の政治家といわれる。2016年都知事選において、自民党や公明党などの推薦した増田寛也氏、民進党や共産党など野党の推薦した鳥越俊太郎氏に対して、完全に無所属で挑んだ。そして、「百合子グリーン」や「都政のブラックボックス」など、ポピュリズムに通じるイメージ戦略で自らをヒロインとする「劇場」を作り上げ、勝利した。 それに対して蓮舫氏は、一点「突破型」の政治家といえる。歯に衣着せぬ物言いで、国会で時の総理や閣僚に詰め寄る姿勢は、最近の「政治とカネ」の問題にまつわる岸田文雄総理との論戦でも示された。相手や場面を問わず、X(旧Twitter)も駆使し、正攻法で真正面から戦う姿勢は、蓮舫氏の真骨頂である。 第二に、「メディアを通じた発信のありかた」が異なる。 小池氏は国政においては2005年の「クールビズ」、そしてコロナ禍にあった2020年には「3密」など、意図的に練り上げたキャッチフレーズを発信する。それはあたかも練り込まれた劇の台本のセリフのようでもある。 一方、蓮舫氏は、2009年の事業仕分けにおいて発言した、「2位じゃダメなんでしょうか」という発言にみられるように、必ずしも練り上げた発言を行うというのではなく、蓮舫氏が感覚的に発する言葉が、メディアによって取り上げられて結果としてキャッチフレーズになるというところがある。そしてそれは今回の「リセット」という発言をみても、時には批判を浴びることもある。 第三に、「政策のありかた」が異なる。小池氏の政策の在り方としては、2023年、国政の岸田首相の「異次元の少子化対策」の前に子育て支援を実行し、18歳以下に月額5000円の給付を開始するなど、国に先んじたスピード感がある。その政策は、国政や都政でも「小池劇場」を中心に、一定の成果を上げてきた。 これに対して蓮舫氏が与党であったのは民主党政権の期間だけであるので、割り引く必要もあるが「事業仕分け」がその蓮舫氏の政策の白眉といえるだろう。官庁の既得権益に対して切り込み、「突破」してその在り方を変えるというのは、都政の「プロジェクションマッピング」の見直しにも力を発揮する可能性がある。 第四に、「組織運営のありかた」が異なる。 小池氏は、2016年の都知事選で勝利したものの、与野党の推薦候補を下した結果の勝利であったので、都政の運営に問題がなかったわけではない。そこで自らと知事が主導する「首長政党」として「都民ファーストの会」を立ち上げ、2017年都議選で都政第一党へと押し上げた。 対して、蓮舫氏は、民進党代表として臨んだ同じ都議選で、歴史的な惨敗を喫してしまい、それが組織としての民進党代表辞任の一つの引き金となってしまった。 こうしてみると、組織として都民ファーストの会をゼロから立ち上げ、現在まで存続する形で組織を維持し、都知事として8年都庁を率いてきたという組織運営の実績は、小池氏に軍配が上がる。 しかし、逆に都政を運営したことがないので、新しい都政を蓮舫氏も展開できる可能性もある。