【パリコレ初対談】アンダーカバー高橋盾×ケンゾーNIGO(R) あの頃と今を語り合う
パリのショーは「独特」
NIGO(R):パリでやるショーって他にない独特な感覚なんだけど、あれって何なんだろう。「サカイ(sacai)」の阿部さん(=阿部千登勢)にも言われたんだよね、「すごい独特でしょ」って。 高橋:とにかく色々な人が集まるしね。何かあるかもしれないって楽しみに来る人がいて、こちらも真剣に向き合って作ったものを発表して。その生のパワーというか、科学反応、ぶつかり合いみたいなものが、臨場感とか熱量になっていくような。 NIGO(R):ショーはライブ配信もするけど、やっぱり生じゃないと伝わらないなとも感じた。SNSでも伝わらない。だからこういう時代でも、リアルを求めてますます人が集まってくる。 高橋:ただ時代が変わっても、やっぱりパリはある程度の敷居の高さがあると思う。そこに憧れを持ったり。うちらもそういう場所でやるって覚悟がいるし、気持ちの入り方とか密度も濃くなる。お祭りみたいに見えるし実際そういう感覚もあるんだけど、遊びじゃないんだよね。 NIGO(R):僕は今回のショーでパリは6シーズン目だけど、みんなこの独特さの中でずっとやってきたんだって、実際やってみてわかることが多いな。 高橋:パリ初期の頃とか、こっちの人は目が肥えてるからプレッシャーもあったよ。今はもうペースが出来上がっているけど。音楽で言ったらショーって1本のライブなわけで、それってなかなかだよな。 ※アンダーカバーは1994年秋冬コレクションから東京で10年、パリで10年のコレクション発表を続け、東日本震災後の2年間はパリコレを休止。2013-14年秋冬コレクションから再びパリで発表を続けている。
ケンゾーのショーについて:「日本的な部分をどう入れてくるか」
――昨日のアンダーカバーとケンゾーのショー、それぞれ現地で生で見ていましたが、どのあたりが気になりましたか? 高橋:NIGO(R)のケンゾーは、日本的な部分をコレクションにどう入れてくるのか、というのは気になった。NIGO(R)の趣味も日本文化の方に向いているしね。序盤の竹の柄(=KENZO Chiku-rin Camo)とか、あと水墨画っぽい絵は賢三さんのアーカイヴ? NIGO(R):元々あるモチーフを組み直してる。絵は刺繍で表現しているんだけど、アーカイヴの中には今の技術では作れないようなものもあるからスゴいよね。 高橋:あと今回はメンズとウィメンズを前半と後半で分けた構成だったけど、前回まで違ったんじゃない? NIGO(R):そう、今回が初めて。自分は元々ウィメンズの服に関わってこなかったのもあって、メンズの延長線上のウィメンズが多かったんだけど、ここ数シーズンでそれぞれが形になってきた。だからウィメンズだけでも見せられるなと感じて。あとは、コーディネートを組み終わった後にメンズとウィメンズを混ぜてみたら、あまりグッとこなかったから。 高橋:ウィメンズは、より大人っぽくなってきてる気がする。 NIGO(R):そういう方向性はあるね。ただ、ショーに出していないものが結構あって、カジュアルなデザインもある。だいたいショーで見せる倍くらいは作っているから。 高橋:おお、そんなに作るんだ。なるほどね。 ケンゾー 2025年春夏ウィメンズ&メンズコレクション パレ・ロワイヤルの庭園にある噴水がランウェイに。竹やトンボ、着物といった日本の伝統がパリのエスプリと出会い、進化するワードローブを追求。高田賢三のアーカイヴを再構築しながら、カラーパレットは折り紙の鮮やかな色をイメージしたという。リラックスしたテーラリングやドレスのシルエットが特徴。Verdyとの2シーズン目となるコラボレーションも発表された。