顔にビリッとした痛みが走る「三叉神経痛」の原因はご存じですか? 放置するリスクや治療法も医師が解説!
三叉神経痛の治療法
編集部: 三叉神経痛の治療について教えてください。 工藤先生: ほとんどの場合、通常の鎮痛剤だと効果がありません。てんかんの薬である「カルバマゼピン」が有効なので、まずは内服で様子を見ます。効果が乏しい場合や薬の副作用などで内服が継続できない場合には、放射線治療(ガンマナイフ)や手術が検討されます。 編集部: 放射線治療をすることもあるのですね。 工藤先生: はい。メカニズムが完全に明らかになってない部分もあるのですが、三叉神経の根元に放射線を当ててダメージを与えることで、神経の働きを弱らせることができます。 編集部: 手術についても教えてください。 工藤先生: 三叉神経と接触している血管を見つけ、神経から離す手術をおこないます。耳の後ろの皮膚を約5~6cm切り、顕微鏡で確認しながら神経と血管を見つけ、血管を神経から離して固定します。原因である神経の圧迫そのものを解除するので、約9割は手術で治すことができます。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 工藤先生: 三叉神経痛の症状は特徴的なので、専門機関を受診すれば特別な検査も不要で、症状のみで診断することができます。脳腫瘍の可能性もあるのでMRI検査は受けていただきたいですが、まずは専門機関で診断してもらうことが大事です。治療法も複数あるため、思い当たる症状のある人は我慢せずに受診しましょう。また、稀ですが「歯磨きすると歯が痛い」と、歯科医院で抜歯してしまう人もいるようです。しかし、抜歯しても痛みは治りませんし、健康な歯を抜いてしまうことになってしまいます。こうしたトラブルを避けるためにも、三叉神経痛について理解を深めていただけたらと思います。
編集部まとめ
三叉神経痛の症状や治療法などについて解説していただきました。顔の一部に突然走る鋭い痛みは、生活に大きな支障を与えると思います。もし似たような症状がある場合は、早めに医師の診断を受け、適切な治療を開始することが大切です。特に、手術は高い効果があるとのことでした。痛みのない生活を取り戻すためにも、思い当たる症状のある方は我慢せず、まずはお近くの専門医に相談してみましょう。
監修医師
工藤 琢巳 先生(工藤脳神経外科クリニック) 東京医科歯科大学卒業。東京医科歯科大学脳神経外科、国立循環器病研究センター、ドイツ・ハイデルベルクGerman Cancer Research Center、彩の国東大宮メディカルセンターなどで経験を積む。2024年、埼玉県越谷市に位置する「工藤脳神経外科クリニック」の院長に就任。医学博士。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本頭痛学会専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医。