2026年ワールドカップで大注目! スウェーデン代表の強烈なアタッカートリオ
【久々に傑出したアタッカーが3人揃う】 ネーションズリーグ・リーグCのグループ1、スウェーデンは5勝1分の首位で日程を終えた。最後のアゼルバイジャン戦は6-0の大勝。クルゼルフスキが2得点、ギェケレシュは4得点だった。 スロバキア、エストニア、アゼルバイジャンと格下が相手だったとはいえ、19ゴールを叩き出した。ギェケレシュ9得点、イサク4得点、クルゼフスキ2得点と3人で15ゴール。この3人はそれぞれタイプがまったく違う。長身で頑健というスウェーデンの伝統的なストライカーでないのも興味深い。 3人とも背は高く、最も長身のイサクは192㎝あるが、空中戦に特化したタイプではない。スラリとした体型で足が長く、そのリーチを活かしたボールキープと懐から繰り出すようなキックが独特だ。ボールを持てば余裕綽綽で、底が知れない雰囲気を漂わせる。 ギェケレシュは187㎝で頑健そうな体格だが、こちらも空中戦より地上戦が得意。一瞬で加速するドリブルは驚異的でフィニッシュの冷静さ、無理な体勢からもねじ込めるキレとパワーは欧州でも注目のゴールゲッターである。 クルゼフスキは純粋なストライカーではなく、ドリブルとアシストに優れたチャンスメーカー。サイドアタッカーとして頭角を表わし、現在はトップ下で新境地を拓いている。懐の深いボールの持ち方はイサクと似ているが、クルゼフスキはより重心が低く、ボールを動かす幅や駆け引きで抜くドリブラーだ。
【プレースタイルの違いはルーツの違い】 3人のプレースタイルが違うのは、それぞれのルーツに由来しているように思える。 イサクはスウェーデンのソルナの生まれだが、両親はアフリカ北東部のエリトリア出身。イサクと同じくソルナ生まれのヘノク・ゴイトムはスウェーデンのアンダー世代代表で活躍した後、エリトリア代表になっている。現在40歳の先輩のスリムな背格好はイサクとよく似ていた。 スウェーデンの黒人選手としては1990年代に活躍したマルティン・ダーリンが有名だが、ダーリンは父親がベネズエラ人。イサクやゴイトムとは違って長身ではあるがガッチリした体型だった。イサクはこれまでいなかったタイプのアタッカーだ。 ギェケレシュは祖父がハンガリー人。ハンガリーはかつて1950年代には「マジック・マジャール」と呼ばれ、サッカー史上でも最強クラスの代表チームだったことがある。現在、ベストゴール賞にその名を残しているフェレンツ・プスカシュ、名プレーメーカーのヨゼフ・ボジク、「偽9番」で有名だったナンドール・ヒデクチなどの名手がいたが、パワフルでスピーディーな点取り屋だったシャンドール・コチシュがギェケレシュと似ている。 クルゼフスキはマケドニア系。パルマに所属していた時には監督から「モハメド・サラーに似ている」と評され、本人はケヴィン・デ・ブライネとエデン・アザールを参考にしていたそうだが、名前が同じせいかプレースタイルは旧ユーゴスラビアのデヤン・サビチェヴィッチを彷彿させる。サビチェヴィッチはモンテネグロ人なのでマケドニアではないが、粘っこいドリブルは東欧の香りがする。