「コーチは教えない」と言うけれど
課題は分離しても、関係性は分離しない
Sさんをモデルにしながらも、私にはまだまだ「課題の分離」が難しいときがあります。「自分がやった方が早い、いいものができる」と、自分の優越性を示したいというエゴやプライドがムクムクと出てきたり、相手の期待に応えたい、よく思われたい、といった承認欲求みたいなものが自分の内側で生まれたりもします。 改めて今、当時のSさんから学んでいることは「課題の分離」をしながらも、関係性は分離しない、むしろ一層、耳を傾ける、というコーチとしてのバージョンアップです。 そのために立ち止まって、自分に対して問うとしたら、どんなことを問えるでしょうか。 ・これは誰の課題なのか? ・私が干渉することで、その人の成長を妨げないか? ・私はこの状況をどの程度コントロールできる能力があるか? ・むしろ手放した方がいいことはないか? ・私の行動は、相手のためか、それとも自分の安心感や優越感のためではないのか? ・私は相手を信頼しているか? これらの問いによって、少し視界が開けてくるような気がします。
【参考資料】 岸見一郎、古賀史健(著)、『嫌われる勇気』、ダイヤモンド社、2013年 岸見一郎(著)、『NHK「100分de名著」ブックス アドラー 人生の意味の心理学 』、NHK出版、2018年
【著者】 青木美知子 株式会社コーチ・エィ 取締役 常務執行役員 国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ 一般財団法人 生涯学習開発財団認定マスターコーチ
青木美知子(コーチ・エィ)