【認知症猫の介護 リアルケース】他人事だと思っていた認知症「正解を決めつけず、できることの中からベストな方法を探していった」
家の中で行方不明!? 隙間挟まり事件
「認知症と診断されてから、“ぐるぐる歩き”に加え、家中を徘徊するようになりました。1日に何往復も、壁伝いに歩き続けるんです。そして10分ぐらい歩くと疲れて部屋の隅で倒れ込む。その姿を見てやめさせようと思うときもありましたが、もしかしたら、部屋の中をパトロールしたり日々のルーティンをこなしているのかもしれないと思い直しました。 それで、ボンの様子を見ながら、臨機応変に対応することに。疲れているのに歩こうとするときは、抱っこして休憩させるなどし、基本的には見守り、危険なときは止めに入りました」 そんなある日、ボンが家の中で行方不明になった。 「猫の体って柔らかくて、頭さえ入ればどこでも通れてしまうんです。ある日、ボンの姿が見えないと思ったら、ゴミ箱とゴミ箱の間に挟まって身動きがとれなくなっていました。壁に沿って歩いているうちに、隙間に挟まってしまったようです。認知症になると、後ずさりができなくなるので、隙間に入ると出られなくなってしまうんです」 鳴いて知らせることもできないため、飼い主が見つけない限り長時間身動きがとれないままになってしまう。そうならないよう、認知症のペットがいる場合、家の中にある“ハマりそうな隙間”は、段ボールをコの字型に折って埋めたり、家にあってすぐ使え、紙より破れにくいペットシーツなどを貼ってふさいだ方がいいと、林さんは言う。
表情が乏しくなっても触れると喜んでくれた
認知症の進行とともに、表情の変化も、林さんは気になったという。 「目元がうつろなことが増えて、どこかいつもぽわ~んと視線が宙をさまよっていることが多くなりました。怪人二十面相ぐらい豊かな表情を見せてくれていたのが、三面相くらいになった感じです。いろんな表情を知っているからこそ、ちょっぴり寂しい気持ちもありましたが、体に触れるとリラックスしてくれているのが伝わってきました。表情は変わっても、触れれば心は通じ合えることを再確認でき、安心しました」