外貨準備高7兆円減、減少率は2番目の大きさ-過去最大の円買い介入
(ブルームバーグ): 為替介入の原資となる日本の外貨準備高は5月末時点で前月から約7兆円減少した。減少率は24年ぶりの円買い介入に踏み切った2022年9月に次いで2番目の大きさとなった。政府・日本銀行が実施した過去最大の円買い介入が要因。
財務省が7日発表した「外貨準備等の状況」によると、5月末の外貨準備は前月末比474億ドル(約7兆3800億円)減の1兆2316億ドルとなった。減少率は3.7%。このうち証券は5.2%減の9276億ドルと最大の下落率となった。預金は0.8%増の1590億ドルだった。
鈴木俊一財務相は閣議後会見で、外貨準備高には「為替介入による減少が反映されている」と説明。米国債を売却する形での介入だったかとの質問に対しては、「市場にも影響を与えることになり、コメントは控えさせていただきたい」と述べた。一方、外貨準備高が為替介入の制約になるとは考えていないと語った。
鈴木財務相:為替介入による減少が反映されている-外貨準備高の減少
ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは、減少額が介入額を下回った背景について、「ユーロ高や米金利の低下、金価格の上昇から時価が上がっていることが相殺した部分がある」と指摘。預金が減ると介入余力が乏しいとみなされ、円売り材料にされかねないことから、財務省が「あえて証券を減らしてみせたのではないか」との見方を示した。
財務省は、介入に際し証券を売却したどうかについては明言しなかった。市場の臆測を招くとして個別取引の詳細は明らかにしないとしている。
5月末に公表された為替介入実績によると、政府・日銀は4月26日-5月29日に総額9兆7885億円の介入を実施した。円が34年ぶり安値水準の1ドル=160円台に急落した4月29日と、再び157円台に下落した5月2日に円買い介入が行われたとみられ、月次ベースの介入額としてはこれまで最大だった22年10月分(6兆3499億円)を上回った。