モーション・キャプチャー"人の動き"見える化 広がる【WBSクロス】
人の動きをデジタル化する技術である「モーション・キャプチャー」が進化して、スポーツやヘルスケアなど利用の場が広がっています。現場で最新技術を取材しました。 神奈川・川崎市にある「Fujitsu Development Center」。その内部では、会議室でバットを振っている人がいました。何をしているのでしょうか? 「これは4台のカメラで撮影した映像から骨格をデータ化し数値化ができるシステム」(「ネクストベース」イノベーション事業推進部の山縣怜之部長) 四角に置かれた4つのカメラで撮影することで、骨格の動きをリアルタイムでデジタル化。動きの“見える化”ができるのです。人の動きをデジタル化するモーション・キャプチャー技術は、データを集めるためのマーカーの装着が一般的ですが、この最新技術ではマーカーが装着不要なのが特徴です。 野球未経験の竹﨑由佳キャスター。バットを振ってみると芯に球が当たる様子はありません。そこでこのシステムを使ってバッティングが上達するか体験してみました。
「これで見ると、このスイング開始の先に山がある。それをもう少しスイング開始の方に持っていきたい。このグラフは捻転をどれだけしているか。捻転をするだけで変わる」(元プロ野球選手の黒羽根利規さん) 体をひねるタイミングを意識して、再び竹﨑キャスターがボールを打ってみると、当たり方が大きく違って来ました。 アドバイス前のグラフと比べてみると、山ができる位置がスイングの開始前に移ったことがわかります。 「すごい。こんなにガラッと変わるんですね、嬉しい」(竹﨑キャスター) 「データを見ながらスイングを直していけるので、バッターも技術が上がっていく」(黒羽根さん) この解析システムを開発したスポーツテックべンチャー「ネクストベース」の中尾信一社長は「動作解析、バイオメカニクスが出てきている。この最先端のところはなかなかパートナーがいない。両社ともパートナーを探して、富士通さんとネクストベースが出会った」と話します。 このシステムの基盤となる技術が富士通の「ヒューマン・モーション・アナリティクス」です。激しい動きを繰り返す体操競技の採点で技術を磨き、マーカーは装着不要で、リアルタイムに高精度な情報が取得できるといいます。既に体操の世界選手権では、審判員の目視を補助する形で使われています。 富士通とともにこの技術を開発してきた「国際体操連盟」の渡辺守成会長は「例えば100メートル走では全部ストップウオッチで、どこにいても誰がやっても計測のタイムは一緒。体操では着地が乱れたか、完璧にできたかは見た目で若干違う。そこをストップウオッチと同じように同じ基準で判断できる。確実に誤審はなくなる」と話します。