「PS5 Pro」、高くてもPS4 Pro並に売れる?“スーパーファン”向けのため問題ないとの指摘
ソニーがPlayStation 5の強化型モデル「PS5 Pro」を正式発表し、価格を明らかにしたとき、ネット上では否定的な見解が飛びかっていた。大台の10万円を突破した日本ばかりではなく、PS5ドライブ搭載モデルより200ドル高に留まった米国でも「高すぎる」との声が上がっている。 すでにPS6の開発の噂。ここでもカギは機械学習? だが、PS5 Proの価格設定は(少なくとも米国では)妥当であり、PS4 Pro並みに売れる可能性があるとゲーム業界の識者らが分析している。 元Blizzard Entertainment社長のMike Ybarr氏はPS5 Proの価格についてコメントし、別の視点から見るよう促している。すなわちProモデル、または中世代機(次世代機までの中継ぎ強化モデル)は既存ユーザーの買い換え向けに過ぎない。そのため社内でコストを評価する際に、「ゲーム機で赤字を出すこと」と「プレイヤーにとって価値を最大化する方法」が考慮されるという。 PS5 Proの価格設定は、「買い替えユーザーがベースモデルを下取りに出す」のを織り込んでいるとのこと。PS5を下取りに出して350ドルのクレジットが付与され、700ドルから差し引くと、結局は350ドルしか掛からないと指摘している。 さらにPS5 Proは「誰も買う必要がない」とも付け加えている。多くの人にとっては通常モデルで満足できる一方で、買い替える人にとっては「市場で最速で最もパワフルなゲーム機を持っている」という優越感を味わえる。しょせん「少量生産に過ぎない製品」とのことだ。 その一方、データ調査会社Ampere Analysisのアナリストは、PS5 ProはPS4 Pro並みに売れると分析している。PS5 ProとPS5の価格差はPS4 ProとPS4よりも大きく、需要の軟化が予想されるが、PlayStationマニアにとっては「価格設定はあまり考慮する必要がない」とコメント。2024年内には約130万台、2029年までには約1300万台が売れると見積もっている。 ちなみにPS4 Proは2016年の発売年には170万台、累計販売台数は1450万台であり、PS4全体の約12%を占めていた。いつの時代も、ゲームマニアは1300万~1400万人はいるのだろう。 またエンタメ業界の分析に特化したMDiA Researchのアナリストも、「PS5 Proはスーパーファン向けのプレミアム製品」であり、700ドルが「非常に熱心なプレーヤーが受け入れるスイートスポット」と述べ、やはり累計販売台数は1300万~1500万台と予想している。 これらの見解を総合すると、PS5 Proは市場の裾野を広げるものではなく、マニア向け製品だと位置づけられている。通常モデルとの共食いを避け、利益を最大化しつつ、コアゲーマーが出費できる上限として700ドルに設定されたということだろう。 今回の分析は米国の価格を対象としており、日本の約12万円(税込)という設定は含まれていない。米国では通常モデルとの価格差は200ドル、国内では4万円(約280ドル)と差が付けられていることは、ソニーがどちらの市場を重視しているかを示唆しているのかもしれない。 Source: Mike Ybarr(X), VGC, Wccftech
多根清史