夫婦が揃っているうちに話し合っておくべき「葬儀の準備」 “誰を呼ぶか”は事前にリスト化、「喪主」と「遺影」も決めておく
どんなに仲睦まじい夫婦でも、いつか死別する日が来る。そのときが来て困らないように、今のうちに夫婦で話し合い、準備を始めなければならない。なかでも葬儀だけは夫婦が揃っているうちに準備しておいたほうが良い。 【表】お金や生活の不安に対する準備 夫婦で始める「ひとりに備える」手続き
「夫婦のどちらかが先立った際、遺された配偶者が喪主として葬儀を仕切るケースが多いですが、ひとりになった後は自分の葬儀で子供たちに負担を強いることになります。 本来は生前に斎場などを親子で決めておくべきですが、ひとり遺された親に『死んだら葬儀はどうするのか』と子供からは聞きづらい。夫婦が揃っている時でないと、話し合うタイミングがなかなかないのです」(葬儀会社関係者)
直葬を望むなら菩提寺にあらかじめ相談を
8年前に妻に先立たれた70代男性のAさんもこう嘆息する。 「妻が亡くなってからは子供たちが実家に帰ることもなくなり、やや疎遠状態で、葬儀について話し合うこともなかった。自分は子供たちに葬儀の手間をかけさせたくなかったので、直葬(火葬だけで済ます葬儀)にしようと考えていました。 これなら費用も20万円程度で済むと安易に考えていたのですが、菩提寺がある場合は直葬というわけにはいかないらしい。妻と同規模の葬儀となれば100万円以上の出費になる。喪主の長男にも負担をかけてしまいそうで、誤算でした」
佐藤葬祭代表で葬儀に関する著書も多い佐藤信顕氏が言う。 「直葬は費用を最小限に抑えることができますが、それだと菩提寺のご住職にお経をあげてもらえず戒名ももらえません。最悪、納骨を拒否されることもあります。直葬を望むなら、菩提寺にあらかじめ相談すべきでしょう。葬儀とお墓はセットで考えておくべき問題です」 葬儀業者の選定も慎重な検討が必要だ。 「ネットなどで『費用8万円から』といった格安葬儀の広告を目にすることがありますが、ふたを開けてみたら『8万円は棺桶代』のみ、といったケースが実際にあります。立派な棺や祭壇の写真で客を釣り、100万を超える高額なプランに誘導、様々な名目で費用を上乗せしてくる業者も存在します。 ひとり親が亡くなった際は、喪主となる子供が費用を持つケースが多いので、葬儀を決める際は子供も交えて話し合い、決定事項は必ず子供にも伝えるようにしましょう」(佐藤氏)