決勝戦完封の世代NO.1右腕、センバツから覚醒した152キロ右腕などこの夏で評価を上げた超高校級投手13選!
まだ発展途上だが、潜在能力の高さを見せた大型右腕たち
清水 大暉投手(前橋商・決勝敗退) 群馬大会成績 18.1回19奪三振自責点6防御率2.98 アピール度 B 191センチの大型右腕・清水 大暉投手は初戦から状態を仕上げてきた。初戦の市立太田戦での最速は143キロ。本人は「大事な初戦ということで、準備はしてきたつもりでしたが、かなり力んでしまった」と悔やむ。それでも7回無失点。準々決勝以降は常時140キロ台後半の速球で圧倒する投球が目立った。角度のある速球は他の投手にはない武器である。ただ、夏は「勢い」だけで圧倒する投球になってしまい、投球のコンビネーション、制球力、変化球の精度などは春から進化が見られず、決勝戦の健大高崎戦では7四死球と荒れてしまった。それでも素材はかなり魅力的な投手であることは間違いない。 山口 廉王投手(仙台育英・決勝敗退) 宮城大会成績 12回7奪三振自責点3防御率2.25 アピール度 B 仙台育英の151キロ右腕・山口 廉王投手は決勝で敗退したが、注目の東北戦で9回途中まで無失点の投球を見せるなど、粘り強さが出てきて、防御率2.25。ただその投球は発展途上だ。試合を作ることを意識し、自慢の速球は140キロ台中盤。120キロ台後半のスライダー、フォークを投げ分けた。ストレートの球威、コントロールはもう一歩の印象。変化球も高めに浮くシーンもあり、この夏、評価を上げた投手と比べると、ワンランク落ちる印象だった。 井上 剣也投手(鹿児島実・準々決勝敗退) 鹿児島大会成績 15回14奪三振自責点6防御率3.60 アピール度 B 最速151キロを誇る井上 剣也投手は苦しい投球となった。初戦の大島戦では9回途中まで投げて4失点。四死球5と制球に苦しんだ。準々決勝の樟南戦では7回途中まで投げて4失点(自責点2)。味方のエラーなどもあり、思うような投球ができなかったが、初戦の大島戦と比べると140キロ台後半の速球は威力があり、130キロ台前半のカットボールの精度も高く、球威そのものは超高校級だった。振り返るとなんとか調子を取り戻そうという必死に調整した感じであり、投球のコンビネーションは春先から進化は見られなかった。 田中 稜真投手(旭川実・準決勝敗退) 北北海道大会成績 37.1回 54奪三振 自責点9 防御率2.18 アピール度 B 今年の北海道NO.1右腕の田中 稜真は前評判通りの投球を見せた。支部予選・北北海道大会では37.1回を投げて54奪三振。140キロ台後半の速球と鋭く曲がるスライダーで三振を奪いまくった。思い通りに投げられた時のストレート、変化球の精度の高さは超高校級。 ただ全体的に高めに浮いたり、ボール先行になることも多く、詰めの甘さが気になった。自責点は9だが、総失点は14と、制球面で課題を残した。対戦打者のレベルが上がった北北海道大会では23.1回を投げて被安打18とやや多め。三振は奪えるが、制球力も高い今朝丸など上位候補に挙がる高校生右腕と比べると、ワンランク劣る印象があった。 一方、前評判が高くてもアピール出来なかった投手がいる。知徳の152キロ右腕・小船 翼投手は不調気味で、140キロ台中盤。制球力含め課題を大きく残し、150キロ台を連発していた春と比べると物足りなさがあった。 153キロ右腕・川勝 空人投手(生光学園)は故障から復帰したばかりもあってか、ストレートは140キロ台中盤。150キロ連発だった昨夏と比べると程遠い投球だった。 関東大会優勝に貢献した152キロ右腕・昆野 太晴投手(白鷗大足利)は初戦敗退。最速149キロだったが、やや制球が悪く、関東大会と比べると物足りない投球だった。初戦で終わり、アピール不足は否めない。センバツベスト8の吉岡 暖投手(阿南光)も最速は145キロと、調子が出なかった。 改めて春も夏も高いパフォーマンスを残し続ける難しさを実感する。今回の地方大会でのパフォーマンス、甲子園でのパフォーマンスを元に、『高校野球ドットコム』では「ドラフト期待度ランキング 2024最終版」をお届けする(10月24日のドラフト会議直前にプロ志望届提出者が対象)。聖地でさらなるパフォーマンスを発揮する選手は出てくるのだろうか。