子どもたちの目を守れ ~スポーツシーンの地道な白内障対策
沖縄で効能実感
ゴルフも長時間、屋外で行うスポーツで、通常5時間前後で18ホールを回る。最近ではプロはもちろん、一般ゴルファーでもサングラスを着用している光景が増えたが、ジュニア世代への啓蒙という点で普及の胎動があった。10月12~14日に沖縄県恩納村のPGMゴルフリゾート沖縄で開催された宮里藍さんによるジュニアイベント「第5回宮里藍インビテーショナル Supported by SUNTORY」。競技には全国から女子中高生35人が出場した。宮里さんが現役時代から使っていることもあり、サングラスのオークリーが協賛として会場にブースを出展。大勢の選手たちに貸し出したりアドバイスを送ったりした。 このイベントを制したのは17歳の吉崎マーナ(沖縄カトリック高2年)。身長151センチと小柄ながら着実なスコアメークで、既にプロの試合に何度も出場した経験を持つ。吉崎は距離感がずれてしまうことを懸念して、もともとサングラスを使うタイプではなかったという。しかし今回は着用してラウンド。効能を次のように明かした。「私はけっこう目が弱くて、ラウンドが終わった後とかすごく目の奥が痛くなったり、頭も痛くなったりしていた。沖縄の日差しがすごくまぶしくて、サングラスをかけながらやらないと駄目だなと思った。すごく良かった」。しっかりと目を守り、制覇へとつなげた。
サングラス文化
ジュニア世代へのサングラスの普及が十分とはいえない背景には、イメージの問題もありそうだ。日本ではサングラスというと、目を保護する道具という以上に、ファッションのアイテムとして根付いている感がある。映画やドラマでアウトロー的な役の登場人物がよく着用していることに象徴されるように、威圧感を演出するものとしての意味合いも伝わってくる。 オークリーの土屋健スポーツマーケティングアドバイザーによると、米国などのスポーツシーンではジュニア世代からよくサングラスをつけているという。また、オーストラリアの一部地域では、サングラス着用を義務化したところもあるなど、目を守るアイテムとして浸透していることがうかがえる。 土屋氏はこう力説する。「以前、宮里藍さんに『サングラスをかけて目を守ることで、長くプレーを続けられた』と言ってもらえたことがある。日本でサングラスをかけるのは『格好つけている』とか思われがちで、印象が良くない面もある。ジュニアの選手たちはもちろん、親御さん、指導者の方々も含めて、そういった日本の〝サングラス文化〟を変えていきたい」。社会全体に広がっている意識を払拭していくのは一朝一夕にはいかないかもしれないが、視力は人生の充実度と深く関わっている。地道な活動がいつか実を結ぶことを期待せずにはいられない。
高村収