男性の育休取得69%を達成 女性のライフステージで起こりやすい不調、男女問わず理解を深められるような取り組みも わが社の「健康経営」
【わが社の「健康経営」】テルモ(3) 最近は法改正の影響もあり、育児休業を取得する男性が増えてきた。厚労省の調査では、2022年度の男性育児取得率は約17%だったが、23年度は約46%にまで改善。しかし、まだ半数に届かない。そんな中、男性の育児休業取得率約69%を達成しているのがテルモだ。男性の育児支援はもとより、女性のライフステージで起こりやすい不調についても、男女問わず、全ての従業員が理解を深められるような取り組みをしている。 【育休取得は男性も当たり前】 同社は14年に健康経営宣言をし、同年度、子育てサポート企業として厚生労働大臣の認定「くるみん認定」を取得した。出産休暇や育児休業、子育て中の就業時間短縮の短時間勤務や、就業時間の繰り上げ・繰り下げの時差勤務、回数制限のない在宅勤務など、さまざまな制度を設けている。 「当社は14年以前から女性アソシエイト(従業員)や上司を対象とした育休復帰支援セミナーや、長期的な視点でのキャリアサポートなどを行っています。一方で、男性アソシエイトに育児休業の取得を奨励しています」と、同社人事部人事企画チームの田中隆之氏は話す。 男性の育児支援のために、上司や職場の理解と環境づくりに力を入れているという。結果として取得率は上がり、取得した男性従業員からは、「家族の絆や連帯感が深まった」などの声が上がっていた。 「育児休業の取得率は女性で100%です。男性もそうなるようにしたい。取るのが当たり前の職場環境になればと思っています」(田中氏) 【パートナーの健康を理解する】 女性は出産に限らず、毎月の生理や50歳前後の更年期障害など女性特有の身体変化がある。人によっては症状が重く、出勤しても仕事のパフォーマンスが低下してしまう。それを防ぐ休養制度などがあっても、職場の理解を得られないと活用するのが難しい。 「女性のライフステージによる心身の不調は、女性だけでなく男性も知識を持つことが不可欠です。全てのアソシエイトが理解することが大切で、セミナーなどの取り組みを行っています」と説明するのは、同社人事部人事企画チームの松原亜里紗氏。 女性特有の乳がん・子宮頸がん検診受診啓発のためのセミナーも開催し、検査費用の無償化も実施。男性従業員の家族の乳がん検診や子宮頸がん検診の補助金を出しているという。だが、女性特有のがん検診の受診率は約63%にとどまる。