「通学支援がやっと」 関西の路線バス廃止・減便相次ぐ! バス会社は完全自動運転化まで持ちこたえられるか?
京都市が市営バスの非常事態宣言
2024年は関西各地で路線バスの廃止や減便が相次いだ。ドライバー不足が深刻さを増したためで、バス路線はこの先どこまで縮小していくのだろうか。東京からの新幹線や大阪からの新快速が着くたびに、バス待ちの長い列が生まれる。バスが来ても乗車できるのは、列に並ぶ人の半分以下。暮れも押し詰まった京都市下京区の京都駅烏丸口。東山区の清水方面へ向かう市営バス乗り場はインバウンドでごった返し、長い列が絶え間なく続く。 【画像】「えぇぇぇ!」 これが京都駅烏丸口の「大行列」です! 画像で見る(13枚) 手っ取り早い解消法は増便だが、京都市交通局には思うように増便できない苦しい事情がある。ドライバー不足が深刻さを増していることだ。市交通局は6月の観光特急バス新設など苦しい事情をやり繰りして対応してきたが、やり繰りは限界に近づきつつある。9月にはドライバー不足の非常事態を宣言し、緊急の募集に踏み切った。 現行ダイヤに必要なドライバーの不足数は9月時点で約50人。10~11月の緊急募集では80人近い人に採用通知を出したが、大半が大型二種免許未取得者。免許を取得して戦力になるのは夏ごろという。市交通局は 「過去の採用辞退数を考えると、新たに加わるのはざっと50~60人。それまでに大量退職があれば路線維持が難しい」 と頭を抱える。 京都市を走る民間のバス会社も状況は同じだ。京都バスが3月、市内全域で減便したのをはじめ、 ・京阪バス ・阪急バス ・京阪京都交通 ・京北ふるさとバス が運休や減便、始発便の繰り下げ、最終便の繰り上げに踏み切っている。
住民の足が各地で危機に
2024年の関西では、路線バスの危機が前年末に起きた大阪府富田林市の金剛自動車廃業から始まった。 富田林市と近隣の河南町、太子町、千早赤坂村で巨大な公共交通空白地域が生まれる事態に直面し、近鉄バスと南海バスが路線維持に参入した。しかし、両社ともドライバー不足で、全路線運行は難しい。4市町は金剛ふるさとバスを設けて残り路線の運行に入った。 だが、金剛ふるさとバスの便数は金剛自動車時代の7割ほど。事実上の減便だ。3億円を超すとみられる4市町の負担金も財政に重くのしかかる。大型バスやマイクロバスなど計7台を出して路線維持に力を入れる河南町総務課は 「近鉄富田林駅行きの朝の便を増やし、通学を支援するのがやっと」 と苦しい胸の内を打ち明けた。 神戸市では西区平野町の平野小学校前に停車する神姫(しんき)バスの路線が2025年3月で運行を休止することになった。平野小学校の校区は南北に長く、北東部の堅田地区や南西部の中津地区から歩けば1時間近くかかる。このため、約60人の児童がバス通学している。 他に代替公共交通はない。神戸市教委が交通事業者を探したところ、市内の観光バス運行会社が朝夕に校区内を回って送迎してくれることが決まった。市教委学校教育課は 「その会社もドライバー不足で出せるドライバーはひとりだけだが、最悪の事態を避けられ、ほっとしている」 と話した。